イルカ大量死も「熱帯雨林アマゾン」干ばつの壮絶 加速する気候変動「負の連鎖」で緊急事態に
ブラジル国立宇宙研究所の科学者で、アマゾンの変化を記録してきたルシアナ・ヴァンニ・ガッチは、「これは消えない影響をもたらす大惨事だ」と話す。「森林喪失が進めば進むほど、森林は回復力を失っていく」。
最近の研究では、気候変動、森林破壊、森林火災によって、アマゾンが深刻な干ばつから回復する力が弱まっていることが判明している。
さらにガッチは、最悪の事態はまだこれからかもしれない、と警告する。雨期は今後数週間で始まるはずだが、6月に始まった干ばつが本来雨季となる時期になっても収まらない可能性もある。そうなれば、アマゾンの乾期に始まった極めて深刻な干ばつが雨期になっても終わらなかった史上初の例となる。
川が干上がり、川沿いの村が孤立
アマゾン北西部の奥地にあるテフェという小さな都市の人々は、湖底が露出して泥地になった一帯をバイクで渡ったり、元々は川だったところに残された細い小川をカヌーで下ったりしている。
現地の自警団でコーディネーターを務めるエディヴィルソン・ブラガによると、この地域では、各村を町とつなぐ航路が干上がってしまったため、約158の川沿いの村が孤立している。
「完全に遮断されている状態だ」と、ブラガは言う。これまでのところ、当局が主にヘリコプターを使って、数千世帯に対して基本的な食品の詰め合わせを配布しているとのことだ。
アマゾンはこれまでにも干ばつを経験しているが、今回は「天災の同時多発」に直面していると、テフェを拠点とするマミラウア研究所の水文学者アヤン・サントス・フライシュマンは話す。雨不足、猛暑、極度の水温上昇が、いっせいにアマゾンを襲っているのだ。