イルカ大量死も「熱帯雨林アマゾン」干ばつの壮絶 加速する気候変動「負の連鎖」で緊急事態に
アマゾン中心部に位置する人口200万人の都市マナウスは森林火災の煙による大気汚染が極めてひどく、世界大気質指数プロジェクトによると、最近、世界でも有数の大気汚染都市の1つとなった。
マナウスの医師らによると、呼吸困難で子どもや高齢者が病院に搬送されるようになっており、不安な気持ちで大気質データを確認するのがマナウスでは毎朝の習慣と化している。
「これは始まりにすぎない」
アマゾンの雨不足は主に気候パターンによるものだと、専門家は言う。
人間が引き起こしている地球温暖化と今回の干ばつの関連性は明らかではないが、気候モデルは「今後数十年で、気候変動で温暖化が進む中、こうした現象が一段と頻発する」ようになることを示唆していると、ブラジル国立宇宙研究所の科学者で気候パターンをモニタリングしているジルヴァン・サンパイオは話す。
こうした気候変動の影響は、アマゾンで進む深刻な森林破壊によって一段と厳しさを増している。アマゾンでは、世界各地へ輸出を行う農業従事者が大豆農園や牛の牧場を作るために森林を開拓している。
森林伐採は地球温暖化と同じく、降雨量の減少と気温の上昇をもたらす。というのは、アマゾンの木々は水分を蒸散することで、気温を下げ、雨雲をつくり出しているからだ。
アマゾンでは同様の干ばつが2015年にも記録され、観測史上最悪の森林火災シーズンにつながった。しかし、今年は大西洋の水温がさらに高く、エルニーニョ現象がなおピークに達していないことから、科学者らは今回の干ばつは今後さらに壊滅的なものになるだろうと予想している。
「これは始まりにすぎない」と、科学者のガッチは言った。
(執筆:Ana Ionova記者、Manuela Andreoni記者)
(C)2023 The New York Times
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