「日経平均株価2万7000円の懸念」が消えないワケ 市場が不安視する「中東以外のリスク」とは何か
これは、イスラエルとパレスチナが主要なエネルギー産出地域ではないという点もあるが、それ以上に、ほかの中東産油国を大きく巻き込む事態には今のところはなりにくいという観測が有力なためだろう。
例えば7日のハマスによる大規模攻撃は、その日程なども含めイランの計画によるものだとの説を唱えた向きもあった。確かに、ハマスへのイランの継続的な支援は行われてきただろう。だが、複数のメディアによると、アメリカのある高官が「イランがハマスによるイスラエルへの攻撃を指示あるいは指揮したという情報は現時点ではない」と、むしろ否定的な見解を示したとされている。
もちろんアメリカは、今後イランが挑発的な行動に踏み出さないよう牽制もしているが、この高官の発言は同国として情勢をエスカレートさせたくはないという意向を示しているのではないか。とすれば、原油先物価格が1バレル=90ドルを大きく超え、例えば100ドルを突き抜けていくというような事態は、今のところ見込みにくい。
アメリカ長期金利上昇の背景はいったい何か
もう1つ、日本も含めて世界市場の波乱要因として注視されているのは、やはりアメリカの長期金利の上昇だろう。同国の10年国債利回りは、6~7月は3.7~3.8%を中心として落ち着いていたが、徐々に上げ足を速め、10月20日は一時5.0%にタッチする局面があった。
この理由については、中東情勢が原油先物価格を押し上げたことによるものだと唱える向きが多いようだ。しかし、上述のように、今のところ原油先物価格の上昇幅は限定的だ。消費者物価指数の前年比に与える影響を推し量るため、WTI原油先物価格の前年比を見ると、ここ数週間はプラスマイナスゼロを出たり入ったりといった状況で、インフレを深刻視するような事態でもない。
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