「2024年早期の日経平均3万5000円目標」は不変だ 市場を覆っていた4つの懸念への心配が薄れた

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エヌビディアのジェンスン・ファンCEO。好決算でも同社株は売られたが、日経平均はその前に今年の高値を一時更新しており、市場の強気は続いているとみてよい(写真:ブルームバーグ)

直近の日本株はどうなっているのか。ひとことで言えば、11月初旬からの株価上昇で、売りを建てていた(ショートしていた)弱気派の投資家が買い戻しを急いでいる状況だ。これに加え、「円売り」「米国債売り」「日本国債売り」の、3つの買い戻しも同時に起きているとみるべきだろう。

市場を覆っていた「4つの懸念」

日本株の海外投資家動向(週ベース)でみても、11月1~3週(10月30日~11月17日)までの3週連続で買い越し(現物と先物の合計)となっている。この中身は、3週連続の先物の買い戻しが中心なので、ショートの買い戻しなどで株価は上昇していたとみるべきだろう。最新の11月第4週(11月20日~24日)の海外投資家売買動向では、4週間ぶりに売り越しとなり、超短期的にはショートの買い戻しのエネルギーはいったん終わりに近づいているようだ。

ではなぜ海外投資家は日本株をショートしていたのか。それはこの間、大きくいって「4つの懸念」がマーケットを覆っていたからだ。すなわち①アメリカのインフレ・金利上昇・追加利上げ懸念、②政府機関閉鎖のおそれ【同国のつなぎ予算の期限切れ(11月17日)による財政不安】、③パレスチナ(イスラエル・ハマス)情勢、④米中対立、である。

これらはどうなったか。まず①は11月13日の消費者物価指数などが弱い数字でインフレ懸念が後退、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ見送り・来年早々の利下げ観測につながった。②は「つなぎ予算」成立(11月14日に下院で超党派の賛成多数で可決し、11月16日にジョー・バイデン大統領の署名で政府の予算執行を2024年1~2月まで継続する「つなぎ予算」が成立。政府機関の閉鎖は回避された。

さらに④では米中首脳会議(11月15日)が1年ぶりに対面で実現し、③も11月22日にパレスチナでは戦闘休止で合意、11月24日から4日間の休戦が実行となった。このように4つの懸念の霧が晴れたことから、早ければ、日経平均株価は年末まで、遅くとも来春までに3万5000円まで上昇するとみている。

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