女子大生悩む!「気を遣い過ぎて疲れます」 週に一度ぐらいはスマホなしで出掛けよう

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ひとりっきりでいかに充実した時間を過ごすことができるか。それは他人に依存しすぎず、コミュニケーションを取るための足腰を鍛える、いわば「基礎体力」を身に付ける大切な時間なのです。

そのとっかかりとしては週に1日だけでもいいから、「ひとりっきりで過ごす」ということにチャレンジしてみてください。LINEやTwitter、Facebookも、たとえば朝見たら夜までは開いてはいけません。くれぐれも、自分の部屋にこもりっきりになるのは避けてください。できれば、スマートフォンの電源も切って家に置いたまま、しばらく散歩に出掛けてみましょう。

出掛ける場所は、喫茶店でも公園でも、図書館でも構いません。自分が落ち着いて、ゆったりとした気持ちで過ごせる場所を見つけてください。

活字に没頭することで、「自由」になれる

そうやって週に1日だけでも、他人との関わりを断って、自分ひとりで過ごす時間を作る。これをずっと続けていくと、だんだんと「ひとりで過ごす力」がついてきます。実は、対人関係で疲れている人は、この力を養っておくことがとても大事なんですね。ひとりきりで充実した時間を過ごすことができない人は、必ず対人関係のなかで、他人に振り回されて疲弊してしまいますから。

この「ひとりで過ごす力」を身につけるのに、それなりの努力と、時間がかかります。週に1日、ひとりで過ごすということに加えて、毎日身体を動かす、ということも行うとより効果的です。ヨガをやってもいいし、通学のときに、1駅か2駅早く降りて、30分から1時間ぐらい、しっかり歩く時間を作ってもいい。そういうときも、SNSを見ながらではなく、自分の身体を丁寧に動かす、ということに集中してください。

また、「ひとりで過ごす力」をつけるための訓練としては、読書というのはいちばんのオススメです。誰でも「いつか読もう」と思って買ったけれど開いていなかった本があると思います。週に1回、ひとりで過ごすときに、そういう本にチャレンジしてみてください。もしかしたら51ページで飽きてしまうかもしれませんが、それでもまったく問題ありません。

内容がちゃんと理解できているかどうか、最後まで読み切れるかどうかは、この場合、あまり大きな問題ではないのです。大切なことは本を開き、まわりの物音が気にならなくなり、活字を追うということに没頭する、ということです。

これは別に読書に限ったことではありませんが、人間は何かに没頭すると、それまで気になって仕方のなかった対人関係の問題などから「フッ」と数十秒~場合によっては数時間解放されます。そのときはじめて、人は本当の意味での「自由」を実感することができるのです。(ただしゲーム好きの私から言ってもゲームはあまり効果的ではありません。ゲームの中では「集中」は、いわばあまりに受動的なのです)

「ひとりで過ごす力」を高めていくうえで、読書というのは非常に有効なエクササイズです。ぜひ、取り入れてみてください。

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名越 康文 精神科医

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なこし やすふみ / Yasufumi Nakoshi

1960年、奈良県生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。
著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSコミュニケーションズ、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」刊行中。オフィシャルウェブサイトはこちら。twitterはこちら

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