このサイクルを継続できる企業のアウトプットが、消費者行動データ提供に対するお返しである。数ポイント、数十ポイントのポイントがお返しではない。
小料理屋の女将の気持ちで「常連対応」ができるか
では、企業が消費者に最適な提案をするとは、どういうことか。わかりやすく言えば「常連対応」である。
私が何度も通っている小料理屋では、入店すると同時に何も言わずとも女将からヱビスビールの小瓶が出てくる。そして、お通しの後、「牧田先生、いつものでよろしいかしら?」とマグロのブツが出てくる。これが「常連対応」である。
この小料理屋には50回以上訪問しているのだが、毎回最初にヱビスビール小瓶を頼み、その後マグロのブツを頼むので、こういった私の行動データが女将の頭の中にインプットされているわけだ。だから、女将は「牧田」という常連客に何を提供すれば喜んでもらえるかを理解しているわけである。
ある日「いつも召し上がっていらっしゃるブツをヌタにしてみました。よかったら召し上がってみて」とマグロのヌタが出てきた。これが消費者の好みを理解した上での女将の提案なのである。食べてみるととても美味しく、この提案をありがたくいただいた。こうして企業と消費者は関係性を深化させていく。
DX、デジタルマーケティングというと、データとAIの世界といった「無味乾燥」なイメージを持ちがちかもしれない。しかし、DXもデジタルマーケティングも、「ビジネス=商売」のための手段に過ぎない。
常に商売をしている女将や商人(あきんど)の気持ちで、目の前に表情豊かな消費者がいることをイメージして、「DXによる売上拡大ビジネスモデル」を構想することが必要となるのである。
今回は、「DXによる売上拡大ビジネスモデル」を構想するフレームワークの使いこなし方を考えてきた。次回は、こういったフレームワークを活用するDX人材の要件について検討していこう。
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