クラウンスポーツの発表に合わせて表明されたのが『THE CROWN』と名付けられたクラウン専門店の展開だ。
この店舗では、今後発売されるセダンやエステートを含め、クラウンシリーズすべての車種が展示されることになる予定だ。クラウンという、トヨタの最上級乗用車に多様な価値が設定されたことにより、単一ブランドの店舗という発想が生まれたのだろう。レクサスとは違った店舗の雰囲気が味わえるのではないか。
神奈川県・横浜、福岡県・天神に次いで、愛知、千葉、東京に順次展開し、これらの店だけで購入可能なクラウンの特別仕様も今後は設定されるようだ。
グローバルモデルとなり、若返りを狙う
1955年の初代クラウン誕生以来、トヨタの、そして最終的には日本の最上級車種として君臨してきたクラウンは、長年にわたり顧客の高齢化に悩まされてきた。クラウンという価値が絶対的であればあるほど、それを継続して手に入れる人たちの年齢層が高まるのは当然だ。その優良顧客を満足させるクルマが、果たして他社から、あるいは世代の若い年齢層から好まれるかどうかはわからない。
クラウンアスリートという若向きの車種の設定など若返りへの挑戦は行われてきたが、ここにきて、クラウンシリーズという発想による、クラウンの中に秘めた多様な選択肢の取り組みと、クラウンだけの世界観を体感させる店舗の展開によって、今後、クラウンの顧客層はさらに広がりを持つようになっていくのではないか。クラウンという価値の存続の模索が、ひとつの答えを出しつつあるように思う。
また、クラウンシリーズとして、この先、4ドアセダンとエステートが順次発売になることで、長い期間にわたってクラウンというクルマの情報発信量は、全体的に多くなっていく。新車種と新店舗と情報発信量という多面的な取り組みが、クラウンをより強化するとともに、次の世代を切り開く戦力となっていきそうだ。
その背景に継承されるのは、昔も今も変わらぬ、「いつかはクラウン」という憧れの心ではないだろうか。
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