中国経済がスベったのは日本化できなかったから 習近平は成長を政治理由で鈍らせてしまった
中国が金融危機に見舞われた場合、日本への打撃は金融の伝染というよりも、むしろ輸出への打撃となるだろう。2008年から2009年にかけての世界金融メルトダウンがそうだった。
自動車産業を除けば、ほとんどの日本企業は輸出を通じて中国の顧客にリーチできており、中国国内で事業を展開しているわけではない。それでも、中国で事業を展開する企業はすべて、企業スパイやその他の問題の影響を受けやすい。
多くの企業が、中国での売上高の伸びが他の地域のそれより劣ると予想しているのに、リスクを冒す価値があるのだろうか。今後数年間に事業拡大を計画している日本企業はわずか20%にすぎず、香港とロシアを除く18の対象国の中で最も低い割合となっているのも不思議ではない。さらに5.5%の企業が事業縮小を計画している。大半は現在の水準を維持するか、不透明である。
中国自体が世界経済の「最大のリスク」?
このほかにも、中国は好戦的な地政学的野心を支えるためにテクノロジーを利用している。そのため岸田政権は、アメリカやヨーロッパとともに「リスク回避」に乗り出した。これは、先進的な半導体製造装置のような特定の重要技術の対中輸出を断つことを意味する。
これに対して中国は、報復として、あるいは無関係な政治的理由から、日本や他の国々への重要鉱物の輸出を制限している。経済的強制を避けるため、日本は他の国々とともに、たとえコストが上がるとしても、重要な供給源の多様化に取り組んでいる。
中国もその他の国々も、通常の貿易と投資の大幅な切り離しは望んでいない。これらの国々は相互依存関係にあり、IMFは対中貿易が大きく落ち込むと、世界のGDPが7%も減少すると予測している。これは、新型コロナウイルスによる影響よりも大きい。
各国の誤算、そして行動や反応によっては事態が変動する可能性もある。これは大きなリスクだ。さらなるリスクは、中国が今、強力で自信に満ちた不安定化勢力となっていることだ。弱い経済が社会の不安定を生み出せば、さらに大きな問題になりかねない。
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