中国経済がスベったのは日本化できなかったから 習近平は成長を政治理由で鈍らせてしまった

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これは誤算だ。2015年、同氏は中国がいくつかの極めて重要な技術や製品で世界的な覇権を握ることを目的とした「メイド・イン・チャイナ2025」プログラムを立ち上げたが、これは失敗に終わった。

例えば、特許を大量に発行する企業に対する中国の税制優遇措置によって、企業は質の高い特許から質の低い特許へとシフトした。中国の経済学者によれば、これは実際にイノベーションと企業の生産性を低下させたという。中国が一部の技術で飛躍的な進歩を遂げたことに疑問を抱く人はいないだろうが、外国企業を迫害することは、イノベーションと成長を阻害する。

外資系企業を「迫害」したツケ

何年もの間、外資系企業は調達における差別、知的財産の窃盗、17人の日本人従業員を含む外国人従業員のスパイ容疑での逮捕に苦しんできた。中国での売り上げが鈍化しているため、企業はこのような慣行を容認しなくなっている。すべての国から中国への外国直接投資(FDI)は、今年の最初の8カ月で8%急落した。

民間企業や外資系企業に対する締め付けは、これ以上悪いタイミングがない状況で行われている。労働人口が減少し、民間投資が減速する中、中国は労働力と資本の投入からより多くの生産物を得なければ成長できない。

この効率性の尺度は全要素生産性(TFP)と呼ばれる。1980年から2010年の間、TFPは1人当たりGDPの成長率の約40%を占めていたが、習近平政権下でTFP成長率は3分の2に急落している。これが1人当たりGDP成長率低下の要因の1つである。

中国と他の富裕国は相互依存関係にあるため、中国が打撃を受ければ他国も打撃を受け、逆に他国が打撃を受ければ中国も打撃を受ける。ロイターが引用したエコノミストによれば、中国の苦難は「日本の年間成長率を1~2%ポイント押し下げる可能性がある」という。最大の理由は、日本の対中輸出がGDPの4%近くを占めていることだ(製品の製造に使われる輸入エネルギーや輸入物資を除く)。

すでに今年の最初の8カ月間で、日本の輸出は昨年より約10%減少している。景気後退がさらに拡大し、長引けば、大きな打撃となるだろう。そのうえ、中国の成長率が1%低下するごとに、東アジアの他の地域の成長率は約0.3%低下する。これは日本からの輸入を減らすことになる。

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