JTの自販機事業は、サントリー食品へ

1500億円で飲料自販機事業を譲渡

 5月25日、サントリー食品インターナショナルは、JTの自動販売機事業を7月をめどに買収すると発表した。写真はサントリーの自販機。2014年2月撮影(2015年 ロイターA man picks up a canned drink as "Boss" canned coffee, which are sold by Suntory /Yuya Shino)

[東京 25日 ロイター] - サントリー食品インターナショナル<2587.T>は25日、JT<2914.T>の自動販売機事業を7月をめどに買収すると発表した。缶コーヒー「ルーツ」や清涼飲料の「桃の天然水」のブランドも取得する。取得価格は1500億円となる。販売網の獲得により、飲料ビジネスの拡大に弾みを付けたい考えだ。

サントリー食品は2020年までに、国内飲料市場でトップシェアになりたいとしている。鳥井信宏社長は会見で、今回の買収は目標達成にとって「すごくインパクトがある」と述べた。

飲料メーカーにとって自販機は有力な販売チャネルのひとつ。しかし、設置場所は限られてきており、JTの自販機事業を買収することで、一気に販売網が広がることになる。

また、新たなカップ用商品を開発したり、給茶機に新機能を入れるなど、従来の事業にサントリーの付加価値を付けることで「総合飲料サービスを進化させ、満足度をさらに高めていきたい」(鳥井社長)としている。

取得額1500億円は、手元資金や借入金などを充当する予定。鳥井社長は「借入、社債による新たな資金調達は1000億円を下回る予定」とした。

他社製品取り扱うビジネスモデルは継続

飲料総研によると、サントリーは自販機を約49万台保有しており、業界第2位。JTが保有する26万6000台を取り込み、首位の日本コカ・コーラグループの約83万台を猛追する。

JTが持つ26万台強のうち、17万台が缶・ペットボトルのベンダー。それぞれのメーカーの商品を入れている自販機のうち3万台がサントリー、それ以外のメーカーが5万台、残りが複数メーカー品の混載機となっている。

サントリーがJTの自販機を取得しても、全てを自社用に切り替えるのではなく「(JTの自販機事業は)商品供給ネットワークとフルラインサービスが強み。ビジネスモデルは継続する」(鳥井社長)。つまり、他社メーカー用の自販機や混載の自販機の運営を継続する。

機材調達の効率化などで、年間数十億円のコスト削減効果が見込めるという。

「ルーツ」や「桃の天然水」は、9月末でJTが製造を中止する。その後、ブランドを維持したまま、サントリーが付加価値を付け、再発売したい考え。サントリーは「南アルプス天然水」や缶コーヒー「ボス」という有力ブランドを持つが、「ルーツにはルーツの固有のファンがいる。サントリーらしく付加価値を付けて提案し直せば、ボスと異なるユーザーを獲得できる」(小郷三朗副社長)とみている。販売再開の時期は未定。

飲料総研によると、2014年の清涼飲料市場シェアは、コカ・コーラグループが27.6%で首位。サントリーが20.5%で第2位、アサヒが12.9%で第3位となっている。

JT、医薬品・食品事業は従来通り注力

JTは今年2月、飲料の製造販売事業から9月末で撤退すると発表。自動販売機事業については、継続や提携、売却などさまざまな方法を検討するとしていた。

自販機事業の売却により、親会社の所有者に帰属する当期利益が1000億円増加する。大久保憲朗副社長は「飲料事業はなくなるが、医薬品・食品事業はこれまで通り注力する。内外たばこ事業に加えて、食品・医薬品事業は積極的に成長させていく」とした。

 

(清水律子 編集:山川薫)

マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • CSR企業総覧
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT