世間で信じられている「嘘のサイン」大いなる誤解 間違った解釈ですれ違いをうまないために
①の「瞬きが増える」は、緊張や何らかの感情が高ぶったときに生じます。嘘をついても緊張しますし、真実を話していても嘘を疑われれば、緊張します。嘘のサインではありません。眩しさやドライアイといった物理的な原因で瞬きが増えることもあります。
②の「目をそらす」は、記憶をたどるときや、考えるときに生じます。実験してみましょう。ここで昨日の夕食を思い出してください。この記事から目がそれたと思います。記憶をたどったり、考えたりするとき、視覚情報に邪魔されず集中するために、目をそらすのです。正面より、天井や下のほうが、視覚情報が少ないでしょう。嘘のサインではありません。
なお、この「目をそらす」が嘘のサインであるという信念は、58カ国2320名の参加者に対して行われた大規模調査(Global Deception ResearchTeam, 2006)により、最も多くの人に信じられているということがわかっています。また、警察官や裁判官らからも嘘のサインだと指摘されていますが、真偽を区別するうえで有効なサインではないことがわかっています(Sporer & Schwandt, 2007)。
身ぶり・手ぶりが減る理由
③の「身ぶり・手ぶりが減る」は、嘘のサインです。身ぶり・手ぶりを、専門的にはイラストレーターと呼びます。イラストレーターとは、体験したことをビジュアル化するために行われる行為のことです。「これくらいの大きさの箱」と言いながら、手でその大きさを表現することがあると思います。こうした行為です。身ぶり・手ぶりだけでなく、表情、特に眉を用いてイラストレーターが行われることもあります。
嘘をつくと、イラストレーターが減る傾向にあるのはなぜでしょうか。それは、実際に体験していないことを話すとき、ビジュアル化する情景がないためイラストレーターができない、あるいは、空想を作り上げるための想像力が乏しく、イラストレーターを続けることに限界が生じて来るからです。
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