数に強い人は楽勝「東大入試」の数字トリック問題 勉強以前の「数字の定義」に立ち返る習慣を問う
さて、そもそもの話として、鉛が「生産」「消費」されるというのは、どういうことを意味するのでしょう。
まず「生産」です。鉛を「生産する」というのは、自然界に鉱石として存在している鉛を含む鉱石を、溶かしたり固めたりして、蓄電池・電化製品などの一部として使える状態にすることを指しています。
それに対して、「消費」とはなんでしょう。生産されて作られた鉛を、PCやスマホなど、なんらかの電化製品などに「使う」ことを指して「消費」と言います。
つまり「生産量」より「消費量」が多いというのは、自然界から鉱石として生産されたものよりも、電化製品などに使われた量のほうが多いということを意味します。
ということは、「鉱石から生産されていない鉛」が存在していて、それを僕たちが使っているということに他なりません。
でも、鉱石以外から鉛を作ることなんてできるのでしょうか? 人工的に鉛を作ることができる技術でもあるのであればそういったことも可能でしょうが、おそらく難しいですよね。どうすれば「消費」が生産を上回るのでしょうか?
「この数字って、そもそも何を表してるんだっけ?」
ここで重要なのは、数字の定義をはっきりさせることです。「消費量」の定義を考えることで、統計のトリックに気づくことができます。
話は変わりますが、三菱総合研究所の調べによると、「ベトナムの保健省直轄病院において、平均ベッド稼働率は約120%」なのだそうです。でも、ベッドの稼働率が100%を超えているって、どういう状態なのかよくわからないですよね? ベッドは1人1つのもので、例えば100個のベッドに100人が寝れば100%の稼働率です。100%を超えることはないでしょう。しかし、ベトナムではベッド稼働率が120%であると言います。どういうことなのでしょう?
これは、1つのベッドを2人の患者さんが使用している場合があることが原因の1つです。100個のベッドを120人が使っているから120%なわけですね。
このように、1つのものを2人以上、2回以上使うことになると、数字のトリックが発生します。
さて、先ほどの問題に戻ってこの原理を当てはめてみましょう。実は私たちは、一度生産されたものを何度も使うこともザラにあります。
例えば、一度印刷した紙の裏面がまだ使えるとなった場合、もう一度その紙を使えますよね。こうすれば、1つのものを2回消費したことになります。
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