「退職時の有休消化」を制限する会社の法的問題点 法的にどう考えられるのか弁護士に聞いた結果

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時季変更権が認められる場合は「有給をあげると、事業の正常な運営を妨げることになる」場合だけで、「仕事が忙しく、あなたがいないと業務が回らない」程度では認められません。

退職の際は、業務の引継ぎが必要です。なので、引継ぎ作業に必要な日数(職場にもよりますが、1〜2日程度でしょう)は、時季変更権を行使され「申し訳ないけど出社してね」ということはありえます。

しかし、「申請日数の半分しか有給をあげない」「3〜4日しかあげない」というのは、時季変更権の濫用にあたり、「有休消化はさせない」に至っては明らかに違法でしょう。

「下品」という感情論でストップをかけた?

問題のツイートでは、「有休消化は下品」という発言があったようですが、問題の根は深いです。有給取得させないと違法となることを知っているからこそ、「下品」という感情論でストップをかけたのではないか、という疑惑が拭えません。

なお、時季変更権が適法とされると、「30日前に退職を伝え、同時に30日間の有休消化を請求した。会社が2日間の時季変更権を行使した。その行使は適法である」という場合、2日間は出社することになります。

そうすると実際には、28日しか有給を使えず、2日間については「有給を捨てる」結果となります。

そのような場合、「捨てるはずだった有給を買取る」という対応をしてくれる会社もあります。しかし、買取りは会社の義務ではありません。したがって、退職時の有給は、引継ぎに必要な日数を含めて、余裕をもって申請することをおすすめします。

プロフィール
河村 健夫(かわむら たけお)弁護士
むさん社会福祉法律事務所
東京大学卒。弁護士経験22年。鉄建公団訴訟(JR採用差別事件)といった大型勝訴案件から個人の解雇案件まで労働事件を広く手がける。社会福祉士と共同で事務所を運営し「カウンセリングできる法律事務所」を目指す。大正大学講師(福祉法学)。

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