列車内「危険物持ち込み」罰則はどうなっている? 過度な検査強化で利便性損なう事態は避けたい

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JR東日本の旅客営業規則でも、第307条で車内に持ち込みができないものを定めているが、そこで制限されているものは鉄道運輸規程に準ずるものが多い。ただし、危険物は全面的に禁止ということでなく、安全が確保されていれば持ち込めるものとされている。

同社の旅客営業規則では、硫酸などの強酸類であっても密閉容器に収納して破損する恐れのないように荷造りされていれば0.5リットル以内の容量に限り持ち込めることになっている。刃物でも他の旅客に危害を及ぼす恐れがないよう梱包またはケースに収納されていれば認められている。

以前は違反者に対するペナルティが用意されていたものの、積極的に事前に違反品持ち込みを防止する手段は存在しなかった。2021年になって対策を実効性あるものにするために手荷物検査を可能とする鉄道運輸規程第25条の2が追加された。

検査が法的に可能になった

鉄道でのセキュリティ対策の向上が求められている中、技術的にも合理的に手荷物検査対象者を選定することが可能になっており、各鉄道会社が状況に応じて必要な点検が適切にできる環境整備をすることが望ましいとして鉄道運輸規程第25条の2が追加された。

この規定により、制限物品の持ち込み防止や他者を加害する恐れのある行為の防止を目的として、必要があるときは鉄道係員は利用客の手荷物検査をすることができることとなり、検査に協力をしない利用客に対しては列車外や鉄道敷地外に退去をさせることができることになった。

法令上は整備されたというものの、ヨーロッパの一部の高速列車や中国の鉄道では検査が実施されているのに対し、日本では一般的には実施されていない。

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