東武が「水族館のアイドル」を乗車させたワケ スカイツリー3周年で浮かび上がる課題

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金色をベースとした特別塗装の「日光詣スペーシア」(撮影:梅谷秀司)

この視点で見ると、ほかのイベントにも変化が感じられる。4月には、東武の看板特急「スペーシア」に特別塗装を施した「日光詣スペーシア」の運行を始めた。

通常のスペーシアは白を基調とした車両にオレンジやブルーのラインが入ったデザインだが、「日光詣」は金色を基調に黒や朱色のラインが入っている。

日光は首都圏から近く、外国人観光客にも人気の高い観光地だ。今年は世界遺産である日光東照宮が400年式年大祭を行う年でもある。日光への鉄道アクセスは東武とJRという2つの方法があるが、「日光イコール東武というイメージを強固にしたい」と東武の担当者は語る。そのため、「日光二社一寺の色彩である金色や朱色をスペーシアの外装に取り入れた」。これも「テーマ性」の一例として挙げられるだろう。

川越アクセスに専用列車投入?

さらに、東武が目下検討しているのは、東武東上線の主要駅である川越の観光開拓だ。首都圏から近くにあって江戸の風情を楽しめる川越は近年、観光客が急増中。川越を訪れる外国人観光客も年々増えている。

東京から川越への鉄道アクセスは、東上線のほかにJR埼京線、西武新宿線がある。この中では、池袋―川越間を30分程度で結ぶ東上線が時間的に優位に立つが、西武は特急「小江戸」号を運行しているほか、本川越駅が観光名所の「時の鐘」にも近いことをアピールする。JRには、ジャパンレールパスを使えば外国人観光客は運賃がかからないという強みがある。

東武は「所要時間が短いというだけでは他社に置いていかれる」と危機感をあらわにする。近い将来、現在の通勤車両に加えて、川越アクセスの専用列車を投入する可能性はありえる話だ。

スカイツリー、日光、そして川越。そこを走る鉄道のテーマ性を磨くことは観光資源の強化にもつながる。観光と鉄道を今後どのように融合していくのか。それは観光立国を目指す日本の未来像でもある。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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