東武が「水族館のアイドル」を乗車させたワケ スカイツリー3周年で浮かび上がる課題
これが、開業から3年を経た2014年度の来場者数はスカイツリーが531万人、スカイツリータウンが3453万人へと後退。2015年度について、会社側はそれぞれ470万人、3200万人とさらに減少を見込んでいる。
「もともとスカイツリーの来場者は30年平均で年間270万人と想定していた」と東武鉄道の担当者は言う。つまり、減少傾向にあるとはいえ、現在の水準も十分に高いといえる。それでも、減少ペースを少しでもゆるやかにしたい。そこで、東武鉄道はさまざまな手段を講じている。
イベントにテーマ性を持たせる
主軸のスカイツリーについては、現在エレベーターを改修中だ。これまでは、強風時にエレベーターを動かせず、営業中止を余儀なくされる例が少なくなかった。
そこでエレベーターを引っ張るロープの強度を高めるなど強風でも揺れにくい構造にすることで、営業休止日数を減らそうとの狙いだ。訪問しても営業休止で上れないというリスクを嫌ってスケジュールに組み込まなかった修学旅行など、団体客の開拓につなげたいという。
スカイツリータウンについては、開業3周年イベントで来場者数増を促す。鉄道事業からも援護射撃をする。ペンギントレインはその一環だ。
すみだ水族館は、巨大なプール型水槽でペンギンの生態を観察できることを売り物としている。つまり、ペンギンはスカイツリータウンの重要な観光資源ともいえるのだ。
スカイツリー2周年のイベントは、とうきょうスカイツリー駅構内でのフォトスポットの設置というものだった。これに対し、今回はペンギントレイン。フォトスポットならスペースの設置くらいで済むが、ペンギントレインは準備も手間も大変だ。なぜそこまでこだわるのか。
「以前のイベントと違いがあるとすれば、イベントにテーマ性を持たせたことではないか」と、東武鉄道の担当者は言う。イベントの内容を今まで以上に考え抜き、手間もかけることで、効果を最大限に高める狙いがあるようだ。
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