ビジネスの難解用語を「絵と事例でザックリ解説」 サイゼ、大塚製薬、モス、進撃の巨人が凄いワケ

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企業事例:大塚製薬
 

製薬企業ながら、消費者向け飲料でも大きな成功を収めている大塚製薬。商品はご存じ、ポカリスエット。1980年に発売しました。
コカ・コーラやサントリー、キリン、アサヒといった大手飲料メーカーが多数存在するなかで、当初「飲む点滴」という異色のキャッチコピーを付けられたスポーツ飲料という独自の商品として発売されました。

製薬企業であるという自社の独自性(Company)と、缶コーヒーや炭酸飲料、茶系飲料、飲料水と幅広く手掛ける大手飲料メーカー(Competitor)との違いを明確に、大塚製薬は実質的に飲料分野をポカリスエット1本に絞りました。
運動によって水分・塩分・糖分を消費するのは、もっぱら中高生(Customer)です。そうした顧客の特徴を捉え、体だけでなく、心も潤すドリンクとして、中高生を応援するようなCMやキャンペーンを展開し、若い世代の心をつかみました。

4Pの成功例:モスバーガー

STPが終わり、どういう市場に、どういう立ち位置で商品・サービスを出していくかを決めた次のステップが、具体的なマーケティング策の設定です。どういう製品(Product)を、どんな価格(Price)で、どういう販路(Place)で売るか。そしてどういう顧客コミュニケーション(Promotion)をするかを決めます。

(『ザックリ経営学』より)

ターゲティング・ポジショニングに合致するように選択することが第一で、4つのPがちぐはぐにならないようにすることがその次に大切です。

ただし、マーケティング実務のなかでは、4Pのすべてがマーケティング責任者の自由になることは多くありません。場合によってはPromotionだけが自由になる、ということもあるでしょう。配られたカードで勝負する必要があります。4Pのうち、自分が操作できるのは何かを理解し、そこに集中するという姿勢が大切なのです。

企業事例:モスバーガー


ハンバーガー業界は、比較にならないほどの圧倒的トップシェアにマクドナルドが君臨していました。そんななかで、マクドナルドの牙城を崩すことに成功した数少ない企業がモスバーガーです。
マクドナルドの隆盛とともに、日本で生まれてきた「ちょっと違ったバーガー、高級バーガーが食べたい」というニーズを捉えたのがモスバーガーです。

高級志向、素材にこだわる自然派という新機軸を打ち出し、価格もマクドナルドよりもはるかに高い値付けをしました。
出店方針も大きく異なります。マクドナルドが駅前や国道沿いの一等地を狙うなかで、モスバーガーは一本入った路地裏を狙いました。土地代が安く済むだけでなく、落ち着いた高級路線の店というブランディングも可能になるためです。

ファストフードでありながら、店頭では、しっかり作る、レジでもよく会話をするという「スロー」な体験を提供。各種媒体での宣伝も控え目にし、口コミで質の良さ、体験の良さを広げていく手法で、ハンバーガー業界で独自の地位を得ました。

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