「育休→タイで1カ月半子育て」した僕が驚いた事 タイは「子どもファースト」の国だった

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そんな不安を感じていた時に、僕の背中を押してくれたのは上司の一言でした。

「特に重要なミッションの仕事は、俺(=上司自身)がやっておく」

すべての仕事を同僚に引き継ぐのではなく、重要な仕事については、上司が引き継いでやっておくと言ってくれたのです。その一言によって「育休を取ることで仕事を失うのではないか」という不安が一気に払拭されました。

これは女性の育休にも通じる部分だと感じています。男女問わず、フルタイムで復帰することを前提とした育休の場合、やはり復帰後のキャリアを不安に感じて、育休を躊躇するケースがあると思います。その背中を押すのは、マネジメント層の理解やサポートです。育休取得時に、復帰時までを見越した計画を本人とマネジメント層が一緒になって立てておくことは、特に男性育休の取得率を高めるうえでは非常に大切だと感じています。

こうして、なんとか育休開始前日までにすべての仕事を引き継ぎ、育休初日の朝、妻と子と3人でタイへ向かいました。

タイでは子どもが「最優先」

タイでの子育ては、日本と違うことがたくさんあり、驚きの連続でした。

中でも一番驚き、かつ、うらやましいと感じたことは、子どもに対する考え方です。タイでは、赤ちゃんはどこへ連れて行ってもアイドルのように人気者。街を歩いていても「かわいいね〜」と話しかけられることは日常で、赤ちゃんがいるだけでその場がにぎやかになります。それほど子どもは大切にされているので、子連れで電車に乗れば乗った瞬間に優先席が空けられます。

子育て
微笑みの国、と言われるタイは子どもにもとても優しい(写真:筆者提供)

さらにそれは人々の考え方だけでなく、ショッピングモールの駐車場には障害者用の駐車スペースとは別で、子連れ専用の駐車スペースが設けられていたり、スーパーマーケットのレジには子連れでも使える優先レジが設置されていたり、子育てしている人の負担が極力減るような仕組みが当たり前のようにできています。このようなことに加えて、タクシーも安かったりするので、子連れでの外出のハードルがとても低いことはとても助かりました。

加えて、タイでは子連れでの外食のハードルも非常に低く、これも本当に助かりました。日本だと、ベビーカーで入店できるお店は限られ、子連れだと断られる場合もあったりして、特に赤ちゃん連れの場合は本当に外食がしづらい社会だと感じている方は僕だけではないと思います。

ですが、タイではまったくそんなことはなく、1カ月半の滞在中、屋台から高級レストランまで行きましたが、子連れだからという理由で入れないお店は一度もありませんでした。その中には、ミシュラン1つ星をとっているようなレストランも含まれます。

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