中国不動産王の最期、許家印の「成り上がり」人生 「恒大帝国」の皇帝はなぜ破滅へ向かったのか?

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体裁にこだわる許家印は世論における自分のイメージをとくに重視していた。

2016年10月、恒大は社内バスケットボール試合の動画を公開した。この動画では、許家印が率いる幹部チームが社員チームを45対44で破った。だが、社員は見せかけのディフェンス姿勢をとっているだけで、結果的に60歳近い許家印が32得点を記録し、MVPに選出された。

ある関係者によると、以前、許家印が病院で健康診断をした際、許家印が不快そうな表情を浮かべながらベッドに横たわっている姿を病院のスタッフに撮影されたという。

この写真が出回った後、恒大は世論の関心をそらすためにこのバスケットボールの試合を企画した。だが、むしろネットユーザーから恒大の企業文化を嘲笑する声が上がった。

許家印はメディアにおけるイメージを非常に重視していた。社外でスピーチを行う際、恒大のブランディング部門は許家印のお気に入りのメディアの重要な広告をほぼすべて買い占め、さらに許家印の出張日程に合わせ、滞在地域でのイメージ報道を強化するようメディアに要請していた。

多くの幹部は責任を取り辞任した

現在の許家印は別の意味で有名となった。

2022年3月21日、不動産管理部門を手がける恒大物業は約134億元(約2700億円)の預金が銀行によって強制的に差し押さえられ、恒大、恒大物業、恒大汽車の上場企業3社が同時に香港証券取引所から取引停止となったことを明らかにした。

2023年2月15日、恒大は2020年12月から2021年8月までの間、恒大物業の定期預金を第三者企業の銀行融資申請のための担保保証として繰り返し利用してきたことが判明した。

第三者企業は資金を得た後、その資金を借り入れまたは投資という手段を通じて恒大に返金していた。恒大の多くの幹部はこの責任を取り、辞任した。

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