中国不動産王の最期、許家印の「成り上がり」人生 「恒大帝国」の皇帝はなぜ破滅へ向かったのか?

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2020年は恒大にとって最後の「ピーク」であった。財務報告書によると、2020年における恒大の売上高は7232億元(約14.5兆円)で、営業利益は5072億元(約10兆円)に達していた。

会社の規模が大きくなるにつれ、許家印は次第に他人の話を聞かない「恒大帝国の皇帝」になっていった。許家印に近い関係者の話によると、恒大は許家印のために、河南省出身の退役軍人を中心としたボディーガードを多数配置しているという。

許家印が移動するときはつねに「護衛用の車が少なくとも1台、場合によっては2台用意されている」。許家印が自分で運転する場合は「護衛用の車が前後に1台ずつ必要になる」とのことだった。

執務室には純金で作られた大きな犬

許家印は次第に他人の話を聞かない「恒大帝国の皇帝」になっていった。写真は2008年、恒大の上場直前に広州本社で複数の投資家のインタビューを受けた際のもの(写真:ZUMA Press/アフロ)

許家印は非常に見えを張る人物である。「客や部下が許家印に会う際には、ボディーガードと秘書の2つの関門を通過する必要がある。さらに彼の執務室には純金で作られた大きな犬が置かれており、ゴミ箱1つの値段も1万元(20万円)以上する」と前出の関係者は明かす。

さまざまな場面に許家印のスタイルは取り入れられていた。中国で著名な骨董品コレクターの馬未都はテレビ番組で、2人が出会った場面について言及したことがある。

「彼はスポーツウェアの上からコートを羽織っていた。部屋に入ると肩を揺らし、『パッ』と聞こえたかと思うと、誰かが後ろからコートを拾った」と馬未都は語った。

広州市の元役人は、許家印から初めての面談を申し込まれたとき、許家印のスタイルについて聞いていたため、あえて妻を同伴させたと明かした。

「案の定、部屋に入るとすぐに、許家印のほかに(若い女性で構成される)恒大歌舞団が大勢いたのが見えた」と彼は振り返り、「許家印は夫婦そろって訪ねてくるとは思っていなかったようで、すぐに恒大歌舞団の団員たちを追い出した」と語った。

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