2015年は、おそらく「最後の円安の年」になる 「円売り余力」が復活、年内はドル高円安方向

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今後に関しては二通りの見方ができる。一つはドル買い円売りポジション解消の流れが続き、早晩ネットで円買いドル売りに転じるという見方、もう一つは軽くなったポジションを前提に再びドル買い円売りが再構築されてくるという見方である。

冒頭述べたように、客観的に見て、円買いがネットで増えてくる理由を探すのは簡単ではない。貿易赤字縮小や日銀追加緩和観測の後退といった材料は円売り縮小の理由にはなっても、円買いを積極的に増やす理由にはなりにくいと思われる。

中立に戻った投機筋のポジションに関しては、「円売り余力が復活した」と解釈するのが恐らく無難であり、事実、5月に入ってから再びじわじわと円売りドル買いのポジションが増え始めている。目先のドル円相場に関しては、実需動向から見ても、投機動向から見ても、ドル高リスクの方が大きいように思われる。

問題は「方向」よりも「水準」

以上のような認識に立てば、「年内は円安」という「方向」自体の確度は相応に高いと考えている。問題はドル円相場の高値が125円なのか130円なのかといった「水準」に関する議論だが、これは日米の金融政策、とりわけ日本銀行の金融政策に関してどういった想定を持つかが重要になってくる。年内における日銀の追加緩和の有無については、どちらかと言えば「緩和なし」の予想が優勢と見受けられるが、「緩和あり」の予想も相応に存在しており、確固たるコンセンサスがあるとは言えない。

本稿では日銀の政策ロジックまで立ち入るつもりはないが、円相場見通しにとって重要なのはあくまで冒頭述べた実需の動向、それに並んで投機筋の動向であり、日銀の追加緩和の有無はドルの高値が125円なのか130円なのかということを決する程度の材料と筆者は割り切っている。あくまでメインのパスは「円安・ドル高」であり、その速度に多大な影響を与え得るのが日銀の「次の一手」という整理である。

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