布施川:一方で、「丸暗記では考える力はつかない」との批判が多いのもまた事実です。先生は「百ます計算を徹底的にやらせる!」とか「丸暗記するまでやる!」と、反復練習を推進していらっしゃいますが、幼児教育の時点から「考える力を養うトレーニング」は可能だと思いますか。
隂山:私としては「覚える」と「考える」を相反するものだとするほうが不思議です。そもそも丸暗記するにも、理解が必要になります。「覚える」と「考える」の間にそこまでの違いはないんです。
丸暗記しようとすると理解せざるをえませんし、知識はあるほどに考えることが可能になります。
布施川:つまり、物事を「考える」ためには、知識や理解が必要で、そのために丸暗記や反復練習が必要ということでしょうか。
隂山:そうです。『考える』こととは、蓄えられた多くの情報から、共通性や相違点について気が付くこと。ですから、そもそも知識がないと考えることができないんです。
覚えることをテストに強制されている
布施川:昨今の「丸暗記」や「反復練習」に対する批判は的外れであると?
隂山:それは少し違います。なぜ丸暗記や反復練習が悪だと言われるのかといえば、覚える能力が高められない状態で、覚えることをテストに強制されているから。効果的な暗記法を習得していない状態で勉強している場合が多いというのが問題なのではないでしょうか。
例えば、漢字の書き取りは間違った方法論がはびこっていますね。実は、同じ字を何回も書くことによって、逆にどんどん覚えられなくなるんです。
布施川:えっ、そうなんですか!?
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