北陸新幹線延伸でJRが投入「新感覚バス」の意外性 福井観光の新たな「切り札」として期待集める

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「この仕組みは、ほかの場所でも使えるんじゃないか」。シースピカが建造に向かって動き出した頃、JR西日本の社内でこんな話が飛び出した。車両は自前の費用で造るものと思っていたJR西日本にとっては目から鱗であった。

船舶だけではなく、バスにも製造費用の一部を国が負担する仕組みがあることもわかった。たとえば、地域観光の高付加価値化につながるようなバスの導入・整備費用として費用の2分の1を補助するという国の制度がある。

候補地として挙がったのが福井である。「恐竜博物館、一条谷、東尋坊、あわら温泉など観光で楽しめる場所は数多いが、1カ所に固まっているわけでなく点在している。福井駅とこれらの場所を観光バスで結んだどうかというアイデアが出た」。XRバスのプロジェクトを担当するJR西日本・地域まちづくり本部地域共生部(地域ビジネス)の内山興課長が構想の発端時を振り返る。

移動をエンターテインメントに

検討の結果、福井駅と恐竜博物館を結ぶルート、福井駅と一乗谷朝倉氏遺跡博物館を結ぶルートを2大ルートとして設定した。ただ、どちらの施設も夕方には閉館してしまうので、バスを1日中フル活用するという観点から福井駅からあわら温泉に向かうというルートも設定した。

福井県立恐竜博物館
福井の観光名所となっている福井県立恐竜博物館(記者撮影)
福井・一乗谷朝倉氏遺跡
一乗谷朝倉氏遺跡(記者撮影)

内山課長には、福井でのバス運行で気になっていた点があった。「たとえば福井駅から恐竜博物館までは片道1時間かかるが、道路から見える風景は、そんなに変化に富んでいるわけではない。中規模の都市にあるような市街地が延々と続き、お客様が退屈してしまうのではないか」。

その対策として当初は、バスガイドのトークで車内を盛り上げ、乗客どうしの触れ合いを促すことも検討した。しかし、たまたま、KNT-CTホールディングスが「WOW RIDE(ワウライド)」という新感覚のバスツアーを2022年2月から東京都内で実施すると聞き、試しに乗ってみた。

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