業績不振のシャープ、「堺工場」に半導体転用説 半導体活況を当て込み、"お荷物"工場を再生?
違和感のあるイベントだった。シャープは8月、東京・丸の内で「シャープ・テックフォーラム」を開催した。そのテーマは、半導体だ。
基調講演に立ったのは、親会社である台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業で最高半導体戦略責任者を務める蔣尚義氏。TSMCの副社長として研究開発を主導してきた人物で、昨年11月に鴻海が招聘した。
ほかにも、大学の半導体研究者や経済産業省の金指壽(かなざしひさし)情報産業課長らが登壇。会場の前列には、シャープの呉柏勲社長の姿もあった。
このイベントの開催目的についてシャープは「創業111周年という記念すべき年に、関心が高まる半導体の最新動向を伝えるため」とするが、今の同社に半導体関連の事業はほとんどない。
かつては半導体事業を行っていた
かつてはシャープも液晶とともに半導体に注力していた。任天堂のゲーム機器向けが中心で、1990年代にはまだベンチャー企業だった英アームとも提携している。だが、その後液晶へと経営資源を集中し、半導体事業は縮小。「当時の半導体技術者は、ほとんど液晶や太陽光パネル事業に異動した」(シャープOB)。
現在は液晶パネル関連の半導体の開発をする程度で、それも鴻海の下での構造改革の一環で2019年に分社化。20年には、広島県福山市の半導体工場が売却され、三菱電機のパワー半導体工場に転用されている。