弁護士が明かす「論点をすり替える人」を倒す方法 誤った論理でたたみかけられた場合どうするのか
ポイントは、売掛金回収のために「子の保証を取る」とした点です。鈴木さんにすれば当然のことですが、田中さんはこの点を捉え、あたかも不当な要求をされたがごとく反論したわけです。
そして、いったん攻める側に回ったら、あとは論点を決めて一気に攻めてきました。鈴木さんが何を言っても、話をその一点に戻してしまうのです。その結果が、先ほどの「私が持っていくまで黙って待っていればいいんだ」になってしまったわけです。
「揚げ足取り」を防止する
さて、鈴木さんが、この「すり替え」に対処するにはどうしたらいいでしょうか?
それは、きっかけとなる揚げ足取りを防止することです。
鈴木「何を感情的になってるんだ。期日までに払えなければ担保を入れるか、保証を入れるのが当然じゃないか。本当に払う気があるのか」
田中「何だと! オレを嘘つき呼ばわりするのか」
鈴木「キミは支払期日を過ぎても払わなかった。つまり、もう私に嘘をついているんだ。いまさら嘘つき呼ばわりもないだろう。さあ、早く払ってくれ」
田中「……」
あるいは、「代金も払わないやつはそんなことに腹を立てる資格はない。文句は払ってから言え!」とでも言えばいいでしょう。
論点をすり替えようとする相手には、とにかく「揚げ足」を取られないことです。
こちらの言葉尻をつかまえて感情的になっている相手に対しては、冷静に「そのことは問題ではない」と軌道修正をしていくことです。
物事は、現状を維持するよりも、現状を変更するほうが、労力が大きいものです。つまり、すり替えよりも、論点を固定するほうが簡単なのです。
この例で言えば、鈴木さんは、何を言われようと気にせずに、「売掛金を払うか否か」という論点から離れないようにすればよいのです。
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