「電気のGTI」次世代フォルクスワーゲンの本気 ドイツIAAモビリティで聞いたGTIを続ける意味
ジャーナリストを前に、「デザインによる成功:Success By Design」なるスローガンを掲げたフォルクスワーゲン・グループ。このとき、これから先の実証例としてお披露目されたのが、フォルクスワーゲン・ブランドのBEV「ID.GTIコンセプト」だった。
クルマとともに登場したのは、フォルクスワーゲン乗用車部門のヘッド・オブ・デザイン(デザイン統括)であるアンドレアス・ミント氏。
1996年に入社し、「ティグアン」や第7世代の「ゴルフ」のエクステリアデザインなど手がけたあと、アウディに移籍し「A1」「Q3」「Q8」から「e-tron GT」まで多くのプロダクトを送り出した人物だ。
2023年初頭にヘッド・オブ・デザインとしてフォルクスワーゲンに戻ったが、その直前はベントレーで、コンセプトモデル「Batur By Mulliner:バトゥア・バイ・マリナー」(2022年公開)などをデザインした経歴をもつ。
「GTIのDNAをe-モビリティの時代へと移植したモデル」と、ミント氏はスポーティーな雰囲気を強く感じさせるID.GTIコンセプトを紹介した。
大切にしてきた「GTI」という存在
フォルクスワーゲンにとって重要なアイコンといえるゴルフ(とポロ)の「GTI」モデル。初代ゴルフGTIが1976年に登場したとき、小さなハッチバック車にもかかわらず、スポーツカーに匹敵する性能ぶりに世界中が驚いた。
この初代ゴルフGTIは、発表と同時に圧倒的な存在感を確立。多くのクルマ好きが飛びつき、伝説的なクルマとなっていく。
ドイツ・フォード(フィエスタXR2)、ルノー(5アルピーヌ)、プジョー(205GTi)、フィアット(リトモ・アバルト)、アウトビアンキ(A112アバルト)など、他メーカーがすかさず、ホットな走りのハッチバック車という分野に追随。“ホットハッチ”というマーケットができたのだった。
そのあとずっと、フォルクスワーゲンではGTIブランドを大切に扱い、ゴルフがモデルチェンジするたびにGTIを設定している。
「BEVの時代を迎えてもGTIは残るのだ」と今回、ID.GTIコンセプトという形で表明したわけだ。そして、このクルマの量産化がすでに決定していることを、明らかにしている。
実車を目の前にしてみると、たしかに前出のブルーメCEOの言葉をなぞるような、魅力的なデザインだ。
コンパクトな全長に、大きなタイヤ。それでいてフロントマスクは、どこかにこやかで、フレンドリーさを感じる。発売されたあかつきには、「どうしても手に入れたい」と思うほどだ。
ベースになるのは、2025年発売予定の「ID.2 all」とされている。2万5000ユーロという破格の価格設定で売られる、コンパクトBEVだ。
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