「年収の壁」130万円超でも連続2年まで扶養可能に パートで働く時間を抑える問題の解決策を検討中

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(写真:FNNプライムオンライン)

主婦の年金どうなる?

橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):ここがまさに政治の力を発揮すべきところだ。退職金の課税に関する問題も、戦後高度成長時代に一つの会社で40年しっかり働いてもらうという前提で退職金制度ができた。今回のこの「年収の壁」制度も、戦後、男性というか、一人の世帯主が働いて、その当時で言うところの女性が家庭を守ると。専業主婦で家庭を守ると。こういう家族モデルをもとに、この「年収の壁」、いろんな年金制度ができ。これいつまでたっても、専業主婦の方にこれ、年金の保険料はもらわないということを前提としていて、じゃあどう改善策を考えるか。

これはどこまで行ってもおかしい話で、これからの時代は専業主婦の方にもちゃんと保険料を払ってもらう。まず、それを大原則にしなきゃいけない。そうすると、各世帯において保険料が上がるじゃないか?と言われるが、そこで僕がずっと言っているが、子育て政策の時にも言った、N分N乗方式、これをやるべきではないかと。 

松山キャスター:(N分N乗法式は)子供が多い世帯ほど減税措置を受けられるような制度。 

橋下徹氏:ただ、これは子育て政策の話だけじゃなく、世帯収入は専業主婦と、男性が働いているのだったら世帯収入は2人で分けると。ちゃんと主婦にも収入があるとみなして、そこで保険料も課していく。そうすると、この世帯、今まであの男性が税率30%なのか何%がなんかかかっていたとしても、奥さんと2人で収入を分けると税率も下がるから、世帯の負担はそんなに変わらない。

実際に変わらないかどうかは、これからの制度設計だが、専業主婦にも収入は当然ある、ということをみなした上で、ちゃんと徴収するという。これからの時代はそういうふうにしていかないと。新聞報道でも見たが、専業主婦の家事労働をGDP換算すると、100兆円以上の価値があるということなので、しっかり専業主婦にも収入があることを前提に保険料をちゃんともらうっていうことをしていかなきゃいけないのではないか? 

田村憲久氏:以前も話したが、高所得者の方が有利になってしまうっていう問題点をどう解決するかというのがある。ただ、そうは言っても、やはりあの皆さん一定程度(の収入)になった時には保険料を払ってもらうっていうのはその通りで、だからこそ今、可処分所得を減らす(選択肢)っていうことは、なかなかできない。なぜかというと、まだ完全に日本は経済が戻っていないから。物価はアメリカと同じだが、アメリカはやっぱり賃金が4.8%ぐらい、5%ぐらい伸びている。

一方、日本は実質賃金がマイナスという状況なので、まだそこまで「買う力」がないので、さらに可処分所得が減るということになると、せっかくデフレをなんとか乗り切ろうとしているところに、やっぱり、ちょっとマイナスになってしまうので、だから、なんとか(マイナスに)逆転しないような形で対応できないかということで、今色々な知恵を出させてもらっているところ。 

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