ジャニーズ「社名変更」でも復活は相当厳しいワケ 「変わった」と思われるために何が必要なのか

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このように遅いうえにダメージを小出しにするような対応を重ねてきたことが、「被害者の救済より、できるだけ損害を少なくすることばかり考えている」という不信感につながってしまったのでしょう。自発的に動こうとせず、個人や企業の猛批判を受けてようやく動き出した社名変更は、その象徴と言っていいかもしれません。

東山社長への疑惑にはふれられず

そんな個人や組織からの不信感に気づいたのでしょうか。19日の文書で東山社長は、「社名変更」だけでなく、「藤島が保有する株式の取り扱い」「被害補償の具体的方策」「所属タレント及び社員の将来」も議論したことを明かしています。7日の会見以降、「社名は変更されるはず」とみられている一方、この3点は「本当に大丈夫なのか」と問題視され続けている重要事項だけに、これらにふれたことは適切でした。

文書には「改めて、10月2日には、その進捗内容を具体的にご報告させていただきたく存じます」と書かれていましたが、当日までの13日間という期間は長いのか、それとも短いのか。現在、当事者たちが急いで対応しているのは間違いないでしょうが、前述したようにすでに半年間もの時間が過ぎているため、やはり「遅い」という印象は否めません。

また、今回の文書で東山社長は「社名変更」「藤島が保有する株式の取り扱い」「被害補償の具体的方策」「所属タレント及び社員の将来」の4つを“今後の会社運営に関わる大きな方向性”に挙げていましたが、1つスルーされているものがありました。

それは東山社長自身のハラスメント疑惑への対処。7日の会見では、あいまいな釈明に終始し、その後も新たな疑惑が報じられるなど、世間の心証はさらに悪化した感があります。

しかし、仮にハラスメント疑惑が解消できても、東山社長への不信感が消えるわけではないのが苦しいところ。そもそも「再発防止特別チームから“解体的出直し”を求められながら、外部ではなく加害者や旧経営陣にかなり近い内部のタレントを社長に起用した」という事実は変えられません。東山社長は年月をかけ、労力を惜しまず、真摯な姿を見せ続けることでしか信頼を回復していくすべはないのでしょう。

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