バンコク「鉄道だけで観光できる街」への大変化 新線や延伸で利便性向上、一方長距離は不便に

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外国人観光客なども不満に思っているようで、こんなことがあった。スカイトレインの1日乗車券を窓口で購入しようと、150バーツ(約617円)を出したところ、係員はスカイトレイン2路線の図を掲げ「この2路線しか乗れませんよ」と念を押し、こちらが納得してから発券した。

路線がたくさんあるのに1日券で2路線しか乗れないのは不自然で、ましてゴールドラインは同じ会社なのに切符が別なのである。

スカイトレインとバンコク・メトロは連携も希薄で、同じ場所にある乗換駅でも改札は別、さらに駅名も違う。スクンウィットとアソーク、シーロムとサラデーンは駅名は異なるが同じ場所である。

バンコク ブルーライン
中心街をバックに高架を行くメトロのブルーライン。スカイトレインとは乗換駅でも駅名が違うなど連携は希薄だ(筆者撮影)

都市鉄道が充実しても「渋滞」は続く

バンコクの根本的な問題もある。アジア各国に共通するが、都市鉄道が完備しても、道路渋滞はまったく改善されないことだ。

東京在住でも車を所有している人は多いと思うが、かといって車を通勤に使わない人が多く、電車やバスを利用する。ところが、アジアでは、経済的に豊かになって車を購入したら、通勤も当然のように車を利用するという考えが大勢だ。逆に「通勤に使わないなら何のために車を購入したのか?」となる。郊外の駅ではパーク&ライドも実施しているが効果は限定的に感じる。

バンコク 交通渋滞
メトロが開通しても、直上の幹線道路はぎちぎちの交通渋滞だ(筆者撮影)

地下鉄が走る直上の幹線道路でさえ、車やモーターバイクで溢れ、さらに目的地へ乗り換えのないバスも行き交う。バスは同じ路線でも運賃の高い冷房車と、運賃の安い冷房のない車両も走らせているので、慢性的な渋滞が続いているのである。

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谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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