バンコク「鉄道だけで観光できる街」への大変化 新線や延伸で利便性向上、一方長距離は不便に
一方、バンスー・グランド駅はコンクリートの要塞といった駅で、旅情のかけらもない。立地も不便である。改札は発車20分ほど前で、利用者はそれまで無味乾燥としたエリアで待たされる。構内は自動販売機中心で、ホームに売店があるわけでもないので、長距離列車利用にあたっての食料調達にも不便さを感じ、発着駅が変更になったことでのメリットは皆無であった。時間に余裕をもって駅へ行っても「やることがない」だけの駅である。建設に日本が関わっているだけに残念に感じる。
あまりに大きな駅に対し、構内はガンガンに冷房が利いているほか、照明も相当な数である。タイ国鉄の運賃は激安なのに、電気代だけでも大変ではないかと心配になるほどである。今からでもフアランポーン駅発着に戻し、通勤鉄道のレッドラインと将来の高速鉄道のみこの駅を発着させたほうがいいと感じた。
駅には「バンスー・グランド・ステーション」と大きく記されているが、列車側面の行先表示には、「クルンテープ・アピワット・セントラル・ターミナル」とあり、国を代表する駅名表記がちぐはぐなのも困ったものだ。
現在のフアランポーン駅は普通列車と、週末などに運転の観光列車のみの発着となった。優等列車の発着がなくなった分、普通列車が増発されたわけでもなく、数多くあるホームは閑古鳥が鳴いていた。売店なども半減、荷物預かり所もなくなり、寂しさを感じずにはいられなかった。
同駅で目立つようになったのは、その雰囲気をカメラに収めようとする観光客や地元の人で、駅名版や発車の合図を鳴らす鐘(使われてはいない)はピカピカに磨かれていたのが印象的であった。
運営会社で運賃体系が異なる不便
話を都市鉄道に戻すと、便利になったものの課題もある。大きな課題は、スカイトレイン、バンコク・メトロ、SRT、それぞれ運賃体系が別で、切符も別々ということだ。加えて新たにできたゴールドラインはこれらのいずれともまた別の切符で、共通して利用できるICカードもない。
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