バンコク「鉄道だけで観光できる街」への大変化 新線や延伸で利便性向上、一方長距離は不便に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

従来もドンムアン空港の前に駅があったが、長距離列車が通るだけで、空港アクセス列車を運行していたわけではないので、空港への足は格段に便利になった。ライトレッドラインは南線に沿うが、南線はバンコクから一旦西へ向かってから南へ方向を変えるので、西地域への郊外路線である。

ともにバンコクの新しい鉄道の玄関であるバンスー・グランド駅が起点で、ダークレッドラインはラッシュ時1時間に4~5本、日中は3本、ライトレッドラインはラッシュ時1時間に3本、日中は2本の運行である。車両は日本製で、ダークレッドラインは6両編成、ライトレッドラインは4両編成である。バンコクの都市鉄道はドイツ製が主流だったが、レッドラインは日本の大手私鉄のような感覚で、日本人にも馴染みやすい路線である。ほとんどが高架なのでスピードもかなり速い。

SRT ライトレッドライン
ライトレッドラインは編成が短く4両編成だ(筆者撮影)
SRT レッドライン 車内
SRTのレッドライン車両は日本製で、窓が大きく眺望が良好だ(筆者撮影)

ちなみにエアポート・リンクは、当初空港アクセスを主目的として赤い急行車両と青い通勤車両を運転、途中駅で急行が通勤電車を抜き去るダイヤで、急行車両はトイレも装備していた。しかし、その後は利用者の多くが通勤客となり、全列車が各駅停車となった。急行待避はなくなり、トイレは使用停止になっている。

長距離列車発着駅の座を譲ったフアランポーン駅

バンコクの都市鉄道は充実し、移動が楽になったが、逆に不便になったのが長距離列車である。従来、タイ国鉄のバンコク発着列車は、すべて中心街にあるフアランポーン駅発着で、夕方ともなると多くの寝台夜行列車などで賑わっていた。

フアランポーン駅待合室
優等列車がなくなり閑散としているフアランポーン駅待合室(筆者撮影)

ところが、2022年12月から、普通列車と観光列車のみフアランポーン駅発着として残し、その他の列車はバンスー・グランド駅発着に移行したのである。フアランポーン駅は立地もよく、終点式のホームが旅情を誘い、自由に立ち入ることができ、物売りなども行き交っていたので、旅の起終点としての機能を持ち合わせていた。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事