マクドナルド、不条理な「退職勧奨」の実態

社員に示された"リストラ通知書"を独自入手

実は同じ時期、同社の従業員やアルバイトの労働組合である日本マクドナルドユニオンの岡田篤・中央執行委員長のもとには、同様の相談が複数寄せられていた。昨年6月、ユニオンは会社に対し「退職勧奨を即刻中止せよ」と改善提案を行った。この抗議の後、前出の男性社員は退職に至らなかったものの、ユニオンに対する相談件数は昨年7月にピークを迎えた。

この一件について日本マクドナルドに尋ねると、退職同意書の存在に関してはノーコメントを貫いた。その一方、「社員の成長を促す人事制度として2009年に『キャリア支援制度』を設けた。この制度は退職勧奨ではなく、個々の社員の成長を促すものだ」(コーポレートリレーション本部)と説明した。

リカバリープランの実態

「ビジネスリカバリープラン」を説明するサラ・カサノバ社長

ユニオンに対する退職勧奨の相談は一旦落ち着いたものの、今年4月16日に日本マクドナルドが再建計画「ビジネスリカバリープラン」を発表して以降、再びユニオンへの相談が増えている。同プラン発表からわずか1週間で5件の退職勧奨に関する相談が寄せられたという。

今回のリカバリープランでは、新商品の投入や店舗改装といった内容に加え、コスト削減を目的に約100人の本社スタッフを対象とした早期退職の実施が盛り込まれている。この早期退職について、会社側は「2003年に業績が悪化したとき以来の実施」(今村朗・執行役員)と説明する。

ただ、複数の関係者の話を総合すると、実態は会社側の説明とは異なるようだ。マクドナルドの営業部門OBは「2004年に就任した原田泳幸社長のもとで人員削減や降格人事が頻繁に行われ、優秀な人材が会社を去っていった」と話す。つまり、2003年の早期退職募集以降も、公表こそされなかったが、人員削減が断続的に行われてきたというのだ。

また、ユニオンの岡田委員長は、今回の早期退職募集について「早期退職のペーパーに申込先が明記されておらず、実態は“指名解雇”に近いような行為が行われている。加えて、4月以降に相談に来た人たちにも、昨年の社員と同じ退職条件通知書が本社から渡されている」と明かす。ユニオンは今年5月14日に緊急団体交渉(労使協議)を行い、退職勧奨・退職強要の即刻中止や、労務事故を防ぐための労務部門の増員などを要求した。

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