CIA内部告発で命の危機「中東からの脱出」の壮絶 『カンダハル突破せよ』の迫力あるアクション

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監督はスタントマン出身のリック・ローマン・ウォー。アクションへの並々ならぬ情熱を持つジェラルド・バトラーとの相性は非常にバツグンで、2019年の『エンド・オブ・ステイツ』以来、『グリーンランド ―地球最後の2日間―』、そして本作と、早くも3本目のタッグ作が実現した。

ウォー監督は本作で「現代の西部劇」を標ぼうしており、渇いた砂漠を舞台とした疾走感あふれる物語展開は、息をつく暇もないほどだ。

撮影は当初、2020年に行われる予定だったが、コロナ禍の拡大により、撮影は中断。翌年の2021年8月には、アフガニスタンからアメリカ軍が撤退。中東をめぐる社会情勢は大きな変化を遂げることとなった。だが戦争は終わったはずなのに、暴力の連鎖はいまだに続いている。

土地は戦争により荒廃し、人々の間にはいまだ悲劇の記憶が色濃く残っている。昨日まで味方だと思っていた人間も、いつ敵に転じるかわからない。そうした社会情勢、そして人々の喪失感なども本作ではしっかりと描かれている。

サウジアラビアの北西部で撮影

ロケ地は、広大な自然と、文化的遺産を数多く有するサウジアラビア北西部のアル・ウラー。英語圏のアクション映画で、ここまで大規模な撮影が同所で行われるのは初めてのこと。ロケ地としての美しい景観はもちろんのこと、撮影隊へのサポート体制、インセンティブなどにも力を入れているとのことで、撮影隊の誘致にも積極的だ。

アフガニスタンでは、いつ味方が敵になるか分からない。そうした社会情勢もリアルに織り込んでいる。 ©2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

すでに何本かここで撮影されてきたとのことで、今後、ハリウッド映画のロケ地としても注目を集めそうだ。ラフォーチュンもその利点について「主な舞台となるアフガニスタンの地形は、僕たちの想像をはるかに超えるほどに極端。頂上に雪がかぶった山々があれば、広大な松林もある。どこまでも広がる砂漠や、月面のような景観もあれば、にぎやかな都会もある。だからこそその環境をほかの場所で再現するのは至難のわざだったが、サウジアラビアならそれを忠実に映像化することができた」とコメントした。

現場には世界25カ国のスタッフ、キャストが集結。現場には多様な言語が飛び交っていたという。また、国内外の撮影隊誘致に熱心なフィルム・アル・ウラー社の全面協力に加え、サウジアラビア政府、サウジアラビア空軍(RSAF)の手厚い支援も、スケールの大きな映像づくりに寄与している。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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