稼働率96%!大手も驚く「日の丸コンサル」の正体 高稼働の裏に独自モデル、外資勢に戦い挑む

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コンサル業界における稼働率は、各社で細かな定義の違いこそあれど、おおむね「コンサルタントが報酬の発生するプロジェクトに年間どの程度参加できたか」を指す。

コンサルタント1人当たりに置き換えると、年間で200日参加できたならば、200日÷365日(実際には所定労働日数など)で計算し、稼働率は約55%となる。冒頭の業界幹部によれば、「戦略系は高単価な分、プロジェクト期間外の準備に相応のリソースを割くため、稼働率は50%程度になる。総合系も80%程度なら十分な水準」という。

そんなコンサル業界で今、「高稼働」の象徴的存在と言われるのが、2016年に上場したベイカレント・コンサルティングだ。外資大手がひしめく市場において、国内の独立系コンサルでは最大手級とされる。

大手コンサルでは一般的に、新たな案件を獲得するべく上級コンサルタントが営業活動も担うが、ベイカレントは業界では異例の営業専門部隊を組織。担当産業別の縦割りが主流とされるモデルとも一線を画し、コンサルタントが業種を問わず案件に参加する「ワンプール制」を導入している。

こうした異色の組織体制により、コンサルタントが本業に集中しながら、縦割りにとらわれずプロジェクトに参加できる仕組みを構築し、2023年2月期の稼働率は91.1%を記録した。

ベイカレントの売上収益は4期連続で30%超の成長を遂げ、2023年2月期には760億円(前年比32.0%増)、営業利益は299億円(同39.0%増)に拡大。5年前に約1200人だったコンサルタント数は、同期末時点で2961人にまで急増した。

ライズににじむ「ベイカレント色」

大手コンサル関係者から「驚異的だ」と畏怖されていたベイカレントの稼働率。単純比較こそできないが、その水準を5ポイントも上回るとなれば、冒頭の業界幹部がライズの稼働率に耳を疑うのも納得できる。

ライズ・コンサルティング・グループの有価証券届出書
ライズが新規上場に際して開示した資料には、驚異的な数字が記載されていた(編集部撮影)

実はライズの成り立ちやビジネスモデルをひもとくと、随所に「ベイカレント色」がにじんでいることがわかる。すでに役員からは退いているが、創業者の朝日氏はベイカレントの元幹部。営業専門部隊の設置やワンプール制の採用など、高稼働率の裏では“ベイカレントモデル”を踏襲しているのだ。

LBOを経た上場スキームはベイカレントの類似事例を参考にしており、そのパートナーとなる投資ファンドに至っては、ベイカレントとまったく同じだ。現経営陣では和田学副社長がベイカレント出身で、業界内からは「凄まじいベイカレント・スピリッツを感じる」(前出の大手コンサル関係者)との声が上がる。

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