「2024年問題」に挑む建設テック5社のすごい新技 大手ゼネコンと次々に協業し業界の課題を克服

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ただ、大手ゼネコンともなると複数の現場を持っており、すべての現場で環境負荷を出そうとすると膨大な時間と費用がかかる。ゴーレムのプラットフォームを使えば、CO2排出量の算出効率化を期待できる。

ゴーレムの野村大輔社長は大手素材メーカーの生産技術エンジニアの経験があり、ソフトウェアエンジニアを経て、建設DXを手がけた実績がある。その過程で環境分野についての知識を習得。「建設×データ解析×環境の領域で、当社より詳しい会社はない」と野村氏。大手デベロッパーやゼネコンと連携し、まずはCO2排出量計算ツールの企業への浸透に力を注ぐ。

建機レンタルや職人向けの新サービス

Arch(アーチ)」(大阪府大阪市、2021年設立)は、建機レンタルの管理をデジタル化するアプリを展開。建設会社と建機レンタル会社をつなぎ、レンタル業務を効率化することができる。「非効率で、ずさんな管理が残る建設業界を変えたい」と、松枝直代表は力を込める。

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クラフトバンク」(東京都中央区、2021年設立)は工事の受発注会社をマッチングするサービスを推進。

多重下請け構造の建設業界では、工事会社間でミスマッチが起こりやすいが、クラフトバンクを使えば無料で工事会社を探せる。より多くの工事会社から選べる有用プランは、月2万円から利用可能だ。

最近では、リアルマッチングイベント「職人酒場」を全国で実施。各会場には左官、解体、塗装といったあらゆる業種の職人が集まる。人脈形成の場として重宝されている。

江戸時代や明治時代に創業したスーパーゼネコンを頂点に、約47万社もの事業者が裾野を広げる建設業界は、変革の意識が乏しく、いまだに電話やファクスで帳票のやりとりを行う会社があるなど非効率な面が数多く残る。新機軸を打ち出す建設ベンチャーは、業界全体を変革する「台風の目」となれるか。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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