44歳「異性と交際経験ゼロ」の彼が結婚に至った訳 「漫画とアニメとゲームオタク」で体重は100キロ

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亮介さんは確かにおしゃべりだけど、聞く耳も持っているのは筆者にもわかる。何かを一方的に言いたいのではなく、会話を求めているのだ。しかも、いきなり腹を割った話をしたがる。相手によってはギョッとしてしまうだろう。それが「変わった人好き」な麻里さんには居心地よく感じられた。蓼食う虫も好き好き、である。

結婚してからは衝突することも少なくなかった。亮介さんによれば、麻里さんはこだわりが強い直感型。何事も自分が納得しない限り動こうとしない。

「白い食べ物は体に悪いから、とご飯は常に玄米です。肉じゃがも牛肉は高いし消化に悪いからと豚肉ばかり。僕が『たまには白米や牛肉も食べたい』と言っても、まったく聞き入れてくれません。ならば自分の分は自分で作ろうとしたら、せっかく一緒に暮らしているのに別々の料理を食べるなんておかしい、と。ついに、感情が爆発してしまいました」

麻里さんのほうはびっくりした。亮介さんがそこまで不満を募らせているとは知らずにいたら、急に怒られたからだ。長く実家暮らしだった亮介さんの主張方法もわかりにくかったのだろう。子どもの頃から亮介さんの世話をしている母親のように察することなどできない。そんなに白米や牛肉を食べたいのならば考慮するので、声を荒らげるのはやめてほしいと亮介さんに伝えた。

自称変わり者同士なのでぶつかることもあるが、基本的にスキンシップを中心とする愉快な晩婚生活を送っている。性欲の解消というよりも、おバカなコミュニケーションを受け入れてもらえるのが楽しいようだ。

「生地が薄いワイドパンツを履いていたりすると、夫が下から頭を突っ込んで下着を見たがるんです。別に嫌ではありません。勝手に見てー、という感じですね」

やりたいことが多すぎる妻、背中を押し続ける夫

筆者としても勝手にしてくれと言いたくなる夫婦である。相性がいいのはおバカなコミュニケーションだけではない。将来的には自分の店舗を持ちたいという麻里さんを亮介さんは応援している。今は体調が整っていないので妊活もできないという麻里さんは「女性の力になりたい」という思いを持ち続けているのだ。

「アクセサリーと栄養とリラクゼーションと占いを組み合わせたようなお店を作れたらいいな、と思っています」

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ややとっちらかっている麻里さん。やりたいことが多すぎるし考えすぎるので具体的な行動にはなかなか移せていない。亮介さんは「やればいいじゃないか」と本気で背中を押し続けている。

「私は目標がある人が好きなんです」

かつて「自分を変えたい」という目標を掲げ、5年もかけて改善し、麻里さんという面白い女性との結婚にたどり着いた亮介さん。今度は麻里さんの夢が実現することを心から応援している。向き合って見つめ合うのが恋愛ならば、一緒に同じ方向を見ることが結婚なのかもしれない。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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