それまでは婚活の本気度が低かった麻里さん。特に根拠なく「年収500万円以上」という条件を設けていたため、出会える男性の幅が狭まっていたと振り返る。ちなみに、マッサージの仕事をしていたという当時の麻里さん自身の年収は約300万円である。
「結婚相談所のカウンセラーさんから『あなたは条件を言ってばかりで相手をちゃんと見ていない』と叱られました。それで、年収条件を400万円以上に下げてみたら、夫を見つけることができたんです」
年収条件は緩くした麻里さんだが、もっと譲れない点があることに気づいた。自分は性格的に変わっている男性しか好きになれないことだ。
「思い返してみると、友だちからも『そんな男の人を選ぶんだ……』と言われることばかりでした(笑)。夫のプロフィール写真を見たときの第一印象は『顔がエロい!』です。会ったときも私の体全体を見るいやらしい目線を感じたので、『ちょっと言っていい? あんた、スケベやろ』と質問。夫からの答えは『まぎれもなくその通りや』でした」
楽しそうに話す麻里さん自身もかなり変わった人だと筆者は思うが、麻里さんは誰に対してもそんな赤裸々な発言をするわけではない。初対面からしゃべりまくる亮介さんに親近感を覚えて、「この人ならばざっくばらんに好きなことを口走っても問題ない」と判断したのだ。
あきらめるのではなく、「変わらなきゃ」
さきほどから発言したいあまり体を揺らしている亮介さんの話も聞こう。高校卒業後は製造業の現場で長く働いているが、プライベートでは「漫画とアニメとゲームばかりのオタク」で体重は100キロを超えていたと明かす。
「女性とは縁がなく、自分と似たような男友だちとばかりつるんでいました。婚活を始めたのは38歳の頃です。でも、全く結果が出ませんでした。高卒で、実家暮らしで、太っていて、年収も高くないのだから当たり前ですけど」
お見合いすらできないことにショックを受け、あきらめるのではなく、「変わらなきゃ」と決意した亮介さん。現在に至るまで週2回のスポーツジム通いと毎朝1時間の勉強は欠かしていない。
「勉強内容はいろいろですが、将来に役立ちそうな資格試験を受けたり、読書をしたりしています。アニメやゲームを楽しむ時間はほとんどなくなりました。体重は20キロ以上減りましたが、婚活は相変わらずの低調。お見合いを少しはできるようになった程度です。でも、このまま独身だったとしても運動と勉強の習慣は継続しようと思っていました」
亮介さんは根っからのオタクなのではなくて集中力がある人なのだろう。ハマる対象をアニメから自己改革に移すことで、他者からも快く受け入れてもらいやすい外見に変わることができた。ただし、性格まで変わることはなかった。
「お見合いができても仮交際に進むことは断られてばかりでした。結婚相談所に登録しているのは真面目で静かな雰囲気の人が多いので、初対面でこんなにペラペラしゃべる自分はペースや感覚が合わないと思われたみたいです」
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