「既存の作品と似てる」生成AIは著作権侵害なのか ビジネス利用で企業側はどう対応すればよい?
法律上は問題がなくとも、成果物の公表により負の影響が発生してしまう可能性があるため、AIによる成果物の公表の際は、その影響にも注意しましょう。
実例として、画像生成型AIによって生成された架空のグラビアアイドルの写真集が、発売後1週間程度で販売中止となりました。その判断の理由について、「生成AIを取り巻く論点・問題点の検討が十分ではなかった」と説明されています。
このように、生成AIによる成果物の商品化については、時期尚早と判断されるケースもあるようです。企業として生成AIによる成果物の商品化を検討する際は、権利処理に関するルールの制定状況や、時流などを見ながら判断していくことが必要でしょう。
(2)社内でのルール策定
企業が事業活動において生成AIの利用を許容する場合、これまで解説したさまざまな留意点について、社内ルールを策定する必要があります。
社内ルールについては、一般社団法人日本ディープラーニング協会が、生成AIの利用ガイドラインの雛形を公開しています(図表2)。この雛形を参考に、自社の実情に合った社内ルールを策定するとよいでしょう。
個人情報・秘密情報の入力は社内でも起こりやすい
特に個人情報・秘密情報の入力は、社内でも比較的起こりやすい事項であると考えられるので、社内への啓発が重要だといえます。
今後、社会全体で生成AIに関するルールも整備されていくと思われます。
情勢を見ながら、何度にもわたって社内ルールを改定していくことになるでしょう。
加えて、社内ルールは実際に守ることが求められますので、モニタリング体制の整備も必要だと考えられます。
GVA法律事務所パートナー弁護士。2008年慶應義塾大学法学部卒業、同年最高裁判所司法研修所入所。2009年弁護士登録後、都内法律事務所・インハウスローヤーを経て、2017年GVA法律事務所参画。2020年同事務所パートナー弁護士に就任。対応領域は幅広く、スタートアップや上場企業の新規事業伴走を得意分野とする他、医療・美容に関する広告規制対応や、食品関連ビジネスにまで対応している。
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