まるで米国のパシリ、「日本の外交」劣化の行く末 G20中の林外相がウクライナ訪問の隠れた意味
ウクライナの反転攻勢は、西側諸国からの莫大な支援にもかかわらず、目に見える結果を出せていないのだが、ウクライナは、軍事支援が足りないからだとして、さらなる支援を世界に要求している。9月7日に訪日したウクライナのステファンチュク最高会議議長は、何を思ったか日本に対してパトリオットシステムや砲弾の供与を求めることまでしている。
そんな中、G20に招待もされず、首脳宣言でも明示的なウクライナ支持を獲得できなかったのである。ウクライナが望んでいるような「戦場での勝利」が得られない中で、国際政治での支持も得られないとなれば、そろそろ停戦の潮時だ、という声が高まることになるだろう。ゼレンスキー大統領が恐れているのは、まさにこの状況なのだ。
影響力を持ち始めているG20
ちなみにG20のGDPはEUを除いても世界の約8割を占め、G7の2倍弱となっている。経済規模だけで見れば、G7よりもG20のほうが、はるかに比重が重い。しかも、中国やロシアがおり、政治的な意味合いでも、G7より包括的で重要性が高いと言える。つまり、G7よりもG20での合意形成のほうが、国際政治における実態を表現していると言っていい。
もちろん、当事者であるロシアや、その支援者である中国がいることから、首脳宣言での表現が弱められたのだ、という言い方もできる。しかし、そのこと自体が、中露が国際政治において決して無視できない大きな影響力を持っていることを示しているのだ。
確かにウクライナの現状には同情の余地がある。NATOは事実上のロシアに対する軍事同盟であるが、ウクライナはメンバーにも入れてもらえていないにもかかわらず、その最前線に立たされてしまっている。
その代償として、NATO諸国がこの状況に対して責任を負っているのは明らかであり、何らかの形でウクライナを支援しなければならないのはよく理解できることだ。
しかし、ひるがえって我が国日本はどうだろうか。さすがに同情心で外交政策を決定しているわけではあるまい。では、法の支配に基づく国際秩序を擁護するためだとでも言うのだろうか。どう転んでも日本にそんな大それたことをもくろむ国力はない。
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