進まぬ仮設住宅に潜む次なる大震災への不備
「一日でも早く仮設住宅を建て、避難所で暮らしている人たちが落ち着ける場所を作らないといけない。避難所を見れば、どれほど切実なニーズか、わかるはずだ」(室崎益輝・関西学院大学災害復興制度研究所長)──。
東日本大震災発生から2カ月過ぎるというのに、被災者向け仮設住宅の建設が難航している。岩手、宮城、福島3県で7万2000戸が必要とされる。国は「5月末までに3万戸」、その後「さらに3カ月で3万戸」の供給を住宅業界に求めた。ところが、被災地での建設用地確保が進まないことが足かせとなり、全戸完成時期は明確ではない。
災害用仮設住宅の大部分は、業界団体のプレハブ建築協会と各都道府県が結んでいる、災害時における協定に基づいて建設される。被災した自治体は、県単位で仮設住宅の発注をまとめ、プレハブ建築協会が各住宅メーカーに割り振る仕組みだ。
建設能力が10年で半減
東日本大震災は被害規模がケタ違いに大きいことから、国土交通省からプレハブ建築協会の上部団体である住宅生産団体連合会に、「住宅メーカー総掛かりで仮設住宅建設を」と要請があった。
これまでの震災では工事現場などで使用する応急仮設住宅の専門メーカーのみで対応したが、今回は仮設住宅を手掛けていない積水ハウスや大和ハウス工業、パナホームなども一般住宅を仕様変更した急ごしらえの仮設住宅で加勢した。5月末までの3万戸のうち、本来の応急仮設住宅で約2万戸、一般住宅メーカー対応が約1万戸の内訳だ。