進まぬ仮設住宅に潜む次なる大震災への不備

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もともと応急仮設住宅のみによる災害時の対応能力は、ここ数年大きく低下している。長年の公共事業抑制に加え、2008年秋のリーマンショック以降は民間設備投資も停滞して、需要家である建設業界が縮小したことが要因だ。応急仮設住宅メーカーの数そのものも減って、残ったメーカーも手持ち在庫を減らしている。

プレハブ建築協会によると、関東地区で災害発生後の3カ月以内に建設できる能力は、00年度には7万3000戸だったのが、10年度には3万戸に半減している。他地区も同様に10年間で6~7割減っている。「大地震の被害が予想される自治体には、応急仮設住宅の資材備蓄をお願いしなければいけないと、今回の震災が起きる前からずっと課題になっていた」とある住宅メーカー首脳は語る。

東海や東南海、あるいは首都圏など、今後予想される大規模地震では、今回の震災をさらに大きく上回る数の仮設住宅が求められるはず。だが、現状のままでは、大量に不足する可能性が高い。

(鶴見昌憲 =週刊東洋経済2011年5月21日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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