いわき・久ノ浜で復興の核となる神社、物資供給や戸別調査もこなす神主
5月12日も神社を訪れると、神主である高木美郎さん一家は忙しそうに動いていた。そこに、1人の女性が「5人分の水をもらえますか」とやってきた。
「食べ物、レトルトパックのご飯もありますよ」という高木さんに、女性は残念そうに「でも、お湯を沸かせないから」と言葉を返した。そうすると、高木さんは「お湯は沸かして、後で届けますから」と。
その高木さんがこまめに作業していたのは、鳥居への街灯取り付け準備だ。「街灯はすべて壊れて、夜になると、真っ暗で物騒なので街灯を取り付けることにした」そうだ。
長男で禰宜である優美さんは神官とは思えない、つなぎの作業服に身を固め、頭にタオルを巻いた姿で町中を走り回っている。最近、「久ノ浜復興支援チーム」を友人と立ち上げて、避難地から戻ってきた住民の戸別調査を行っているからだ。
■地元の復興に走り回る諏訪神社の高木優美さん
これには訳がある。被災地では頻繁に起きていることだが、混乱の中で自主的な避難が広がったため、自治体ですら、住民の実情を把握しかねる事態に陥っているのだ。しかし、住民の動向を把握できなければ復旧も復興もままならない。