和田秀樹「60代はお金を無理にため込む必要ない」 お金をどんどん使って人生を楽しむのがいい

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日頃は質素倹約を心掛けている人でも、月に一度はぜいたくをしてください。たまにはぜいたくしないと、人間はどんどん気持ちがしぼんでしまいます。高いご飯を食べたり、映画を観に行ったり、温泉に入りに行ったりと、何らかのぜいたくをするだけで、心が豊かになります。

そして、経験が人生を支えてくれることもあります。事実、施設にいるお年寄りを見ていても、「昔はこんなすごいことをした」「こんな特別な経験をした」などと過去の経験を話すとき、顔がキラキラと輝いています。
私自身、「経験」に支えられたことは多々あります。

月一度のぜいたくで人生を豊かに

たとえば、私はワインが大好きなので、何かの仕事を頑張ったときは、良いワインを飲むことがあります。お金がかかることもありますが、それでも、ワインを飲むときは至福の時間です。

ただ、そんな私でしたが、2020年のコロナ禍に、いきなり貧乏になりました。

代表を務める通信教育の会社のお客さんが激減するし、講演などのお仕事もどんどんなくなり、なんと毎月のローンが払えない状態に。そのせいで、借金もつくりました。もちろんワインを飲んでいる余裕などありませんし、何とか資金をつくるため、「いつか大事なときに飲もう」と思って大切にしていたワインを手放したりもしました。

『60歳からはやりたい放題[実践編]』(扶桑社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

でも、このときに「あぁ、高いワインを買ってぜいたくしなければ良かった」と思ったかというと、決してそんなことはありません。

「おいしいワインを飲む」という経験に投資できただけで、十分に満足できましたし、このまま貧乏になったとしてもあのときの経験を大切にして生きていけるとすら思ったのです。

結果的には、コロナ禍が終わって経済が回復するにつれて、なんとか持ち直すことができましたが、この経験からも「ぜいたくをして楽しんだ記憶は、自分を支える一生の財産になる」と痛感しました。

もし寝たきりになって、ベッドから起きられない人生になったとしても、人生の中にキラキラ光る体験を積み重ねていた人ならば、「あのときは楽しかった」「実は自分の人生にはこんなことがあった」と振り返る日々は、案外、悪いものではないのではないでしょうか。

みなさんも、ぜひ最低でも月に1回ほど、ぜいたくな経験をしてください。そのときの記憶が、その後の人生を支える大きな糧となるはずです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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