段差なしでバリアフリー「超低床電車」仕組みは? 機器類の配置を工夫、車軸のない特殊構造も
2018年には岡山電気軌道が観光電車として9200形1081「おかでんチャギントン」を1編成導入した。9200形の車体をベースとして、アニメ「チャギントン」に登場するキャラクター「ウィルソン」「ブルースター」をモチーフとした意匠としているためかなり異質な存在だが、まぎれもなくブレーメン形超低床電車である。
ブレーメン形の最新型車両が宇都宮ライトレールHU300形だ。福井鉄道F1000形に続く3車体連接車となり、編成長は規定ギリギリの29.52m、定員は国内最大の160人を誇る。2021〜2022年に17編成を順次製造し、8月26日から営業運転を開始した。
ブレーメン形はドイツ本国ではすでに製造していないが、日本では2023年デビューの新型車両が登場するなど、息の長いシリーズとなっている。一方で熊本市交通局9700形の一部は部品取り車となっており、今後ブレーメン形の動向が気になるところではある。
もう1つのドイツ製と国産「JTRAM」
ブレーメン形に続いて日本に登場した100%超低床車は、1999年に広島電鉄が導入した5000形「GREEN MOVER(グリーンムーバー)」だ。こちらはドイツ・シーメンス社の「コンビーノ」シリーズを輸入した。ただし前面は日本でデザインしている。
コンビーノシリーズは、台車のある車体と台車がないフローティング車体を交互に連結することにより3・5・7・9車体の連接編成を組むことができる。5000形は5車体連接構造を採用。編成長は30.52mで、日本の軌道運転規則で定められた30mを超えるため特認を受けた。床の高さは330mm。100%超低床を実現するため、車輪はブレーメン形と同じく左右独立しているが、コンビーノはモーターも左右独立して配置し、1台の主制御器で一括制御している。
当初、5000形は22編成程度導入する計画だった。しかし製造コストが高かったことや、ドイツ製の車体では冷房の能力が不足して日本の環境にそぐわなかったこともあり、2002年までに12編成を導入するにとどまった。さらに部品コストや部品調達期間の問題もあり、現在運用しているのは2編成のみとなっている。
一方、5000形の導入と並行して、2001年からアルナ工機(現・アルナ車両)、川崎重工業(現・川崎車両)、近畿車輛、東芝、東洋電機製造、ナブコ(現・ナブテスコ)、日本車輌製造、三菱重工業の8社による「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」が、国交省の支援を受けて左右独立車輪台車の技術開発を行った。
同組合は2004年に解散したが、近畿車輛、三菱重工業、東洋電機製造の3社が共同で日本製の左右独立車輪台車を装着した超低床電車「JTRAM」を開発。広島電鉄が2004年に5100形「Green mover max(グリーンムーバーマックス)」として導入した。
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