段差なしでバリアフリー「超低床電車」仕組みは? 機器類の配置を工夫、車軸のない特殊構造も
5100形は5000形と同様の5車体連接構造を採用。全長は規定内の30mに収め、通路幅を拡大しながらも座席定員は5000形の46人から10人増の56人としている。ただし定員自体は149人と4人減少している。
広島電鉄は2004〜2008年に5100形を10編成導入。その後、2013〜2020年に3車体連接車の1000形1001号「PICCOLO(ピッコロ)」、1002号「PICCOLA(ピッコラ)」、1003~1018号「GREEN MOVER LEX(グリーンムーバーレックス)」が登場した。
2019年からは5100形の後継として5車体連接構造の5200形「Green mover APEX(グリーンムーバーエイペックス)」を導入しているが、広島電鉄以外にJTRAMの導入事例はない。
車軸ありの国産車「リトルダンサー」
他方、アルナ工機(現・アルナ車両)は東芝、住友金属工業(現・日本製鉄)、東洋電機製造、ナブコ(現・ナブテスコ)と共同で、左右の車輪が車軸でつながった通常の台車を使用した超低床電車を開発した。これが「リトルダンサー」シリーズだ。最大のメリットは左右独立車輪のような複雑な台車、駆動装置を持たないため、保守性に優れている点にある。
リトルダンサーシリーズは現在までに9タイプが登場した。最初に実用化されたのは「タイプA3」で、鹿児島市交通局が2002年1月に1000形「ユートラム」として導入。これが国産超低床電車第1号だ。Aは関節を意味するArticulatedの頭文字で、3は3車体を意味する。
1000形は3車体2台車の連接構造を採用。両端の運転席モジュールに台車を装着し、中間の客室モジュールは台車がないフローティング車体とすることで70%超低床構造を実現した。床高さは330mmとかなり低いのも特徴。2005年までに9編成を導入した。同交通局は2007年4月に5車体3台車の「タイプA5」を採用した7000形「ユートラムⅡ」を導入。両端車と中央の車両が台車付き、その間に台車なしのフローティング車体を挟んだ構造で、1000形よりも定員を増やしている。
2002年3月には、世界初の単車の超低床電車「タイプS(Short)」の伊予鉄道モハ2100形が登場。単車で超低床構造を実現するために台車は極力車端部に寄せて配置しており、床の高さは350mm。超低床部分だけでは定員を稼げないため、台車上部の高床部にも座席を設置している。2007年までに10両が導入された。
タイプSは伊予鉄道が2017年から後継車のモハ5000形の導入を進めているほか、2018年から札幌市交通局が1100形「シリウス」として導入開始している。
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