段差なしでバリアフリー「超低床電車」仕組みは? 機器類の配置を工夫、車軸のない特殊構造も
9700形は1997年に1編成、1999年と2001年に各2編成と、3次にわたって5編成導入。そのつど新潟鐵工所による独自の改良が加えられた。1次車は台車の首振り角度が6.5度だったが、2次車では4.5度として最少通過曲線半径を18mから30mにすることでタイヤハウス(車輪の収まる部分)を縮小し、通路幅を80.6cmから82cmに拡大した。3次車はモーターの制御装置を国産に変更した。
2002年には岡山電気軌道がブレーメン形の超低床電車9200形「MOMO(モモ)」を1編成導入した。導入に際しては熊本市交通局9700形とは異なる外観デザインが求められたため、アドトランツ社の超低床電車の後継車種「インチェントロ」の車体をベースとしたのが大きな特徴。ただし台車や駆動方式はブレーメン形のままで変更はない。
9200形MOMO以降、インチェントロに準じた車体とブレーメン形の走行システムという日本独特のスタイルが確立された。新潟鐵工所を引き継いだ新潟トランシスは、2003〜2009年に万葉線のMLRV1000形「アイトラム」6編成、2006年に富山ライトレール(2020年に富山地方鉄道に吸収合併)のTLR0600形「ポートラム」(現・0600形)8編成を製造した。車体デザインなどは導入各社でアレンジが加えられている。
日本では今も続く「ブレーメン形」製造
2007年からは新潟トランシスが台車のライセンス製造を開始し、輸入部品を削減した。2009年には富山地方鉄道が環状線の開業に合わせて9000形「CENTRAM(セントラム)」を3編成導入したほか、熊本市交通局が9700形に続くブレーメン形として0800形2編成、2014年には改良型「COCORO(ココロ)」を1編成導入した。岡山電気軌道も2011年に9200形「MOMO2」を1編成投入した。
2013〜2016年には福井鉄道がF1000形「FUKURAM(フクラム)」4編成を順次導入した。F1000形はブレーメン形で国内初の3車体連接構造を採用し、編成長は27.16mとなった。インチェントロは3車体連接構造の場合、中間車に台車がないフローティング車体となるが、F1000形はブレーメン形なので中間車にも台車がある。
2016年から福井鉄道とえちぜん鉄道の相互乗り入れが始まり、これに合わせてえちぜん鉄道がL形「ki-bo(キーボ)」を2編成導入。F1000形同様のブレーメン形だが、L形は2車体連接構造とした。また、ライト周りの意匠を大きく変えたことで前面の印象を大きく変えることに成功している。
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