イー・アクvs.アッカ、通信局地戦の混沌

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イー・アクvs.アッカ、通信局地戦の混沌

アッカの株価下落に業を煮やしたイー・アクセスが、過激な株主提案をたたきつけた。軍配はどちらに?
(週刊東洋経済2月9日号より)

株価低迷企業に対してまた大株主が直接行動に出た。突きつけた株主提案は「現取締役の不再任、自社から取締役4人を派遣」というもの。送り主はイー・アクセス、突きつけられたのはアッカ・ネットワークスだ。ADSLの同業同士で、イー・アクセスはアッカの13%強の株式を握る筆頭株主である。

光ファイバーへの移行が急速に進む通信業界にあって、今回の騒動が本格再編の引き金になる可能性は低い。ADSLのシェアも両社合わせて22%程度にすぎない。言ってみれば、局地戦だ。

山科拓・日興シティグループ証券ディレクターは「株価対策の面が大きい。イー・アクセス保有のアッカ株は簿価が1株24万円。株価が12万円を下回ると評価損が出る」と指摘。イー・アクセスの千本倖生会長も「アッカが株価を上げられるプランを出し、ウチの大切な人材を送らないで済むなら大歓迎」と話す。

後手に回るアッカ

イー・アクセスがアッカ株を最初に取得したのは2005年。株価が割安で、低い利益率が改善すると判断したようだ。関係者によると、アッカ経営陣は一時、第三者が保有する自社株の買い取りに動き、その背後には千本会長の影がちらついていたという。両社の関係は悪くなかったようだが、何度か行った経営上の提案は実現せず、「昨年アッカは(既存株主に不利な)MSCBを発行しようとした。株主の痛みをわかっていない」(エリック・ガン取締役)とイー・アクセス側が不満を募らせるようになった。

1月16日の株主提案に対し、アッカは同29日、「提案に反対。今後の方針は2月14日に発表」と回答した。大株主のNTTコミュニケーションズなどからは支持を得ている模様だが、後手の印象は否めない。「固定通信サービスと無線を融合させたサービスが成長戦略」とするアッカの方針にどれだけの支持が集まるか。次世代高速無線の免許申請で落選した直後だけに、株主の見る目は厳しくなっている。3月に開かれる株主総会の行方は予断を許さない。

「日本の株が上がらないのは株主の行動が足りないから。ダメだったらまたやる」(ガン取締役)とイー・アクセスの鼻息は荒い。アッカの株価次第では対立が長期化しそうな気配も漂う。

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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