「センチュリーのSUV」価格2500万円~の超世界観 セダンでもミニバンでもない新たな高級車の形

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2500万円というのはあくまでベース価格で、「ご購入にあたっては、販売店の担当マイスターが一人ひとりのお客様と丁寧にコミュニケーションを重ね、ご希望に合ったお車をご提案します」としているように、オーナーの好みに合わせた仕様を作り上げていく形をとる。

ロールス・ロイスを筆頭とした超高級ブランド車は皆、こうしたビスポーク(特注)で作られている。このセンチュリーのSUVも、それに則った形となるようだ。自分好みの仕様を時間をかけて作り上げていくところから、このクルマの楽しみは始まるのである。

後席は2人がけで乗車定員は4名となる(写真:トヨタ自動車)
後席は2人がけで乗車定員は4名となる(写真:トヨタ自動車)

ちなみに、センチュリーのセダンの価格は2008万円~、ライバルとして考えられるベントレー「ベンテイガ」は約2400万円~、メルセデス・マイバッハ「GLS 600 4MATIC」は3010万円~、ロールス・ロイス「カリナン」はおよそ5000万円~。さすがにカリナンは別格だが、世界の超高級SUVと張り合う価格感である。

なお、ここまであえて“センチュリーのSUV”と記してきたのは、正式な名称が発表されていないためだ。

「クラウンクロスオーバー」が「クラウンという車種の中にあるクロスオーバーモデル」であるように、センチュリーのSUVも単独のモデル名が与えられるのではなく、センチュリーの中の1タイプと位置づけられるものと思われる。

鳳凰のエンブレムは継承。職人が一つひとつ彫刻して作る(写真:トヨタ自動車)
鳳凰のエンブレムは継承。職人が一つひとつ彫刻して作る(写真:トヨタ自動車)

次の100年を見据えたセンチュリーへ

受注受付は9月6日から、発売は2023年中の予定で月販基準台数は30台/月。センチュリーセダンと同じくトヨタ自動車の田原工場で製造される。

「センチュリーから、次の100年を見据えたセンチュリーへ」というキャッチコピーは少々大げさに思えるが、「アルファード」のショーファーカー需要が多いことを考えれば、3列目のないSUVは新たなショーファーカーになりうる。それに、ベンテイガやマイバッハGLSがそうであるように、富裕層のファミリーカーとしてのニーズもある。

30台/月という月販基準台数を越えて、新たなニーズを開拓していく可能性も十分にあるだろう。オプションなど含めて3000万円級となる金額を支払える人にとって、興味深い1台となるのではないか。

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木谷 宗義 自動車編集者

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きたに むねよし / Muneyoshi Kitani

1981年、神奈川県生まれ。大学卒業後、専門学校で編集を学び、2006年よりフリーランスの編集者/ライターとしてキャリアをスタート。取材・執筆、編集、ディレクション業務のほか、当初よりメディア運営に携わる。現在は自動車編集者として、初心者向けからマニア向けまで幅広く自動車コンテンツの制作やプロデュースを行う。type-e.inc代表取締役。

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