東洋ゴム、交換費用は140億円だけで済むのか 社長が国会に招致され、釈明に終始
「本件の回収に伴う費用は補償させていただく」。山本社長は、国会参考人招致の場でこう表明した。ただ、「その他に発生しうる補償費用については現時点で予想できない」(同社幹部)といい、中間決算以降に特損金額が上積みされる可能性がある。
肝心の回収、交換対応の見通しも、一向に見えてこない。問題は大きく2つ。
1点目は交換する製品の準備が難航しそうなことだ。ブリヂストンなどに代替品生産を依頼したものの、具体的な対応はあまり進んでいない。3月13日発表の55棟に使われた高減衰ゴムは、ブリヂストン製品で代替が可能だが、4月21日に発表された99棟(データ欠損物件含む)の大半で使われる高減衰ゴム製品は、他社に代替品がなく、交換するには自社製品を使うしかない状況だという。同社幹部は「国交省の第三者委員会が夏ごろに結論を出すまでは大臣認定の再取得は難しい」と懸念する。
2点目は交換作業に時間がかかりそうなことだ。東洋ゴムによると、免震ゴムの交換に対応できる業者は4~5社。さらに代替製品を使うとなると、構造再計算が必要になる。60年間ほどとされる免震ゴムの交換実績は、国内ではまだ1件しかない。交換に要する期間は、「できれば2年以内に終了できるようゼネコンと協議している」(山本社長)としている。
本業のタイヤは北米で好調だが…
それでも、免震ゴム問題の泥沼化とは裏腹に、前期の営業利益の約95%を占める本業のタイヤは好調だ。
第1四半期決算の営業利益実績は、約126億円(前年同期比13.3%増)と、会社計画を約10億円上回った。国内では、タイヤの引き取りを拒否する顧客も一部いたが、影響は軽微。販売本数の7割弱を占める海外では、高付加価値品のSUV(スポーツ多目的車)用タイヤが北米で販売を伸ばし、利益を押し上げた。
「自社で評価するなら(第1四半期決算は)マルだった」と語る東洋ゴム幹部。その顔に危機感は感じ取れなかった。
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