日経平均4万円への上昇相場がいよいよ始まった 「9月相場」は弱気どころか強気で仕込むときだ

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さて、9月のNYダウがよくないことは前述のとおりだが、一方で「大統領選挙前年の平均騰落率」という視点に立つと、NYダウはほかの年の平均値を大きく上回っている。しかも、9月に関しても「大統領選挙前年の9月は強い」という、まったく逆のアノマリー(経験則)もある。

このことから行くと、やはりアメリカの9月相場は続伸し、日本も当然それとともに高いということになる。折しも政府は1日に、日本経済の供給力と需要の差を表す「需給ギャップ」が4〜6月期にプラス0.4%だったとの推計を公表した。これはすでにわれわれが唱えていた「インフレ相場突入」を事実上認めたことになる。

投資家にとっての9月相場の対処法は、上げる日もあれば下げる日もあるので、高いところでの利益確定売りを「よしなさい」とは言わない。だが、安いところはすかさず買って、年末相場を前にして手持ち株を減らさないことだと思っている。9月相場は、冒頭で触れたのように「2024年前半の日経平均4万円」への最後の仕込み場と思っているからだ。

9月相場に影響する中国経済をどう見るか

もちろん、心配のタネがないわけではない。最たるモノは中国経済だ。その中国では、9日に8月CPIやPPI(生産者物価指数)の発表がある。

7月のCPIは前年同月比-0.3%と、2021年2月以来2年5カ月ぶり、PPIは同-4.4%と10カ月連続のマイナスとなった。現在の同国は「不動産バブルが崩壊、資産デフレに突入した」「若者の失業率は20%超(一説には40%超)で、打つ手がほとんどない」などと言われている。

日本の最大貿易国はアメリカではなく中国だから、「関係なし」ではいられない。とくに中国の売上高比率が高い電気、化学、精密機器の業種別チャートが示すように、市場はかなり警戒している。

約30年ぶりのインフレ相場が始まっている日本に、中国のデフレの嵐が吹けばどうなるのか。影響はもちろんありそうだ。だが、株式市場の見方としては、以下のように、相殺する「4つの要因」もある。

① 大手証券会社などの集計によると、上場企業の2024年3月期の純利益は前期比約6%増となり、3期連続で最高益の見通し
② 円安はこうした予想をさらに押し上げる
③ 日本が関東大震災からちょうど100年となり、インフラ再構築の時期に当たる(社会インフラのサイクルは俗に50年)。災害対策、国土強靭化は喫緊の課題で、筆者は銀行株相場とともに、建設株相場も盛り上がる(インフレ相場の常識である)
④ 中国はいざとなれば「何でもあり」の政策が打てる。西側の典型的な分析では判断できない。100年に一度のリーマンショックを救った中国の力を過少評価すべきでない

筆者は今までずっと「安いところは買い」と唱えてきた。だが、その「買い作業」を早めて、10月よりも前に完了して(買い終えて)ほしいと思っている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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